多くのオーナー経営者が「M&A」を検討せざるを得ない状況だが…そもそも「事業承継」にはどんな選択肢があるのか?【専門家が解説】
【選択肢4】M&A
親族内承継も役員・従業員への承継も難しいといったケースでは、廃業を避けるため、M&Aが事業承継の有力な選択肢となります。具体的には、事業の所有権と経営権のいずれも、売却により第三者に託していく選択肢です。 世の中は少子高齢化。キャリアの多様性も広がる中で後継者候補が辞退するケースもみられ、多くのオーナー経営者がM&Aを選択肢として検討せざるを得ない状況です。少し古いデータになりますが、中小企業庁によれば、2025年に経営者の年齢が70歳以上となる企業数は245万社。そのうち後継者未定の企業は実に127万社あるそうです。さらにこのうち60万社ほどは黒字であると推計されており(図表3)、政府は2029年までに年間6万件の事業承継M&Aの実現を目標に掲げて税制優遇や補助金などの施策を講じています。 いかに、今後成長性が見込まれるマーケットであるか、おわかりいただけると思いますが、それゆえ、中小企業のM&Aを支援する業者も急増しています。中小企業M&Aを支援するサービスのほとんどは、その呼称を問わず、実態はM&A仲介サービスといわれるものです。M&A仲介サービスは売り手と買い手を中立の立場でマッチングするサービスです。当事者の利益を守り、追求することを支援するサービスではありません。売り手オーナーからみたM&A仲介サービスのリスクについては、本連載の別の機会で詳細を解説したいと思います。 作田 隆吉 オーナーズ株式会社 代表取締役社長
作田 隆吉