キオクシア、最短12月のIPO目指す 新たな上場方式を初活用
Miho Uranaka Sam Nussey [東京 8日 ロイター] - 半導体大手キオクシアホールディングスは8日、今年12月から来年6月までの間に東京証券取引所へ上場する方針を関東財務局に届け出た。日本で新たに導入された上場方式を初めて活用し、東証からの承認前に投資家の需要を探る。予定時期に幅を持たせたものの、複数の関係者によると12月の上場を目指している。 キオクシアは東芝の半導体メモリー事業が前身で、今は米投資ファンドのベインキャピタルが過半数の株式を保有する。ベインとキオクシアは今年10月の新規株式公開(IPO)を計画していたが、半導体市況の悪化で上場時の目標時価総額を達成することが難しいと判断し、東証からの承認前に延期を決めた。2年前にも承認後、市況悪化で取りやめた経緯がある。 今回は日本で昨年10月に導入された「S-1方式」を初めて活用する。従来は承認時に金融当局へ提出する目論見書に売り出しなどの想定価格や株数などを明記していたが、新方式では先に届出書を提出、価格を提示していない承認前に機関投資家と対話して需要を探ることができる。承認後の手続きが早まり、承認日から上場までの期間も短縮できる。 関東財務局に提出した有価証券届出書には、東証からの上場承認日を今年11月から来年5月、上場予定日を12月から6月と明記した。複数の関係者によると、実際には東証からの上場承認を11月下旬と想定し、最短の12月上場を目指している。 日本の株式市場はボラティリティーの高い状況が続いてきたが、米大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領の勝利を受けて、世界的に機関投資家は半導体業界の見通しを再評価している。 キオクシアの業績も回復が続いており、8日に発表した24年7─9月期の連結業績は営業利益が1660億円、純利益が1062億円だった。4─6月期からそれぞれ402億円と365億円増加し、いずれも3四半期連続で黒字を確保した。 関係者2人によると、ベインとキオクシアが10月の上場を計画していた際は1.5兆円の時価総額を目指していたのに対し、投資家の反応は目標を大きく下回る8000億円程度だった。キオクシアの経営陣が面談した機関投資家の間では、メモリー半導体市場の本格回復にはもうしばらく時間がかかるとの見方が多かった。 (浦中美穂、Sam Nussey編集:久保信博、青山敦子)