テン・ハフには感謝しかない。マンチェスター・ユナイテッドは次こそ変われるのか。もう負け慣れた、言い訳したくない【コラム】
⚫️新体制に向けて今後の論点となるのは…
もちろんスター選手をマネジメントした経験はまだないだろうが、スポルティングCPファンでありポルトガル人でもあるブルーノ・フェルナンデスが主将という面も、今のチームと親和性は高い。 マネジメント面で言うと、スポルティングCPの既存のコーチングチームをユナイテッドに連れてくることは確定のため、ファン・ニステルローイや、ダレン・フレッチャーなど、OBコーチを何人残すかが今後の論点となるだろう。元々ユナイテッドに所属していたコーチ陣の存在は、チーム管理の観点でメリットもデメリットもあるので難しい判断になる。 メリットは言わずもがな初動で選手との繋ぎ目になれる点だが、デメリットはあまり知らない年上部下をマネジメントする難しさや、反監督グループが生まれるリスクも残る。 英メディア『スカイ・スポーツ』によると、選手たちは元ストライカーの立ち振る舞いを評価しており、彼がコーチングスタッフとして残留することを望んでいるという。 現役時代のオランダ人は10番をつけていた上に、当時若手だったクリスティアーノ・ロナウドと揉めたことなどもあり、二番手キャラクターのイメージが正直湧かなかった。ただこのようなポジティブな報道が事実なのであれば、是非、残留して欲しいと思っている。 一方でここまでの発言をひっくり返すようだが、アモリムには気持ちよく、やりやすい形で指揮して欲しいという気持ちもある。それでなくとも、外野がうるさいクラブなのだ。
⚫️もう言い訳はやめよう
こんなコラムを書いている筆者もそのうるさい外野のうちの一人であり、どの口が言っているのかという話もあるのだが、いずれにしても、フロント陣はうまく若い新指揮官のことをサポートして欲しい。 もしアモリムがファン・ニステルローイを望まないのであれば、それをファン、選手、両方にうまく説明してとりなすのもフロント陣の仕事のはずだ。 最後にユナイテッドが、プレミアリーグで優勝して11年が経過した。筆者はこの期間で20代から30代になり、非常に残念なことにクラブの敗戦にも慣れてしまった。「怪我人が多かったからしょうがない」「新戦力が多いからしょうがない」。負けたことを正当化させる言い訳の種類ばかりが多くなった。 ただ新しい変化も生まれた。最近は記事を書くだけでなく、YouTubeで配信もするようになった。するとただ動画上で「負けたけど辛くないですよ」という面をしていても面白くないので、結果として、勝敗に一喜一憂して、感情を全て表に出すようになった。 20代の頃のような楽しみ方を、向き合い方を取り戻せたとも言える。それはそれで辛い週もあるのだが、その結果として、今回のような自分の感情を全面に出すようなコラムを書けるようになった。これも新しい血を入れて、紆余曲折を経た成長と言えるのではないか。 勝手にクラブと自分を重ねてしまうのだが、同じくユナイテッドも、本当にいろんな回り道をしてきた。しかし、まだ30代の新しいDNAをクラブに招き入れることを決心した。何でも新しければ良いわけではないものの、変化が思わぬ成長を生むことがあることも確かだ。 この監督人事が、今回こそ、トップクラブに返り咲く大きな一歩目になることを心底祈っている。もう言い訳の種類を増やすつもりはない。 (文:内藤秀明)
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