タイト「Tシリーズ」を計測してびっくり!見た目と真逆の今どき性能/'24鍛キャビ研究#3
今どき鍛キャビはまだあるぞ!プロギアが熱い
我々アマチュアも手にできるツアー系鍛造キャビティアイアンはまだまだある。下記はいずれもプロからの評価も高いモデルだ。これらについても松吉氏に解説いただいた。
「性能的には可もなく不可もなく、バランスのよいアイアンです。プロもアマも多くの人にフィットする可能性があり、きれいな形状と軟鉄鍛造が好きな日本人には特に響くのではないでしょうか。計測値を見ると、スリクソンの前作『ZX7 Mk II』に近いような気もします」
「重心距離だけを見るとミズノは長くなったり短くなったりを繰り返しているのですが、本モデルはやや長め。重心もまずまず深く、ミズノらしいルックスの割には使いやすいと思います。『Mizuno Pro』を冠したクラブは、顔は良いけどややとっつきにくいと感じる人もいますが、本モデルは間口が広く使い手をあまり選ばないでしょう。この顔にピンときたら打ってみると、意外といけるはずです」
「近年のヤマハはトレンドを検証する製品作りを行っています。日本のプロの意見を取り入れたであろう本モデルは、重心が高くて慣性モーメントが小さいのが特徴。ややクラシカルな特性に若干ですが飛距離性能を与えた、少し先進的なアイアンだと言えます。ヘッドスピードが速い人も十分使えます」
「タイトリスト同様、シンプルなルックスの内部に複雑な構造を持ち、番手別に設計されている手の込んだモデルです。形状の割には慣性モーメントが小さく、7番だけ見ると大きな進化はしていないのですが、5番アイアンなど長い番手は大きな進化を遂げている可能性があります。PGAツアーにも供給されているだけあって、ある程度のヘッドスピードを持つ人が使うと真価を発揮できるでしょう。お助け感はありませんが、スピン量は十分確保できる設計です」
「プロギアはここ最近、スリクソンと共に現代のドライバーに合ったアイアンを作ってきました。本モデルは重心距離がしっかり長くFP値も大きい、今どき鍛キャビの要素が盛り込まれています。重心の深さは普通で、打点の上下のコントロールにシビアさを残してあり、上級者のスピンコントロールの手助けをしてくれます」
「小顔だけど打てちゃった!」と思うはず
かつてのアイアン作りは、上手い人の声を聞いてそれを具現化しようとしてきたが、その流れがだいぶ変わってきたと松吉氏。試打する時にはスイング中のヘッドの安定を感じながら打つと良いのだそう。 「『顔はちっちゃいけど打てちゃった!』こういう驚きがあるのが今どきアイアンですので、気になるモデルは是非とも打ってみてほしいですね。可能ならば、6~8番の3本を打って距離差がきちんと出ているかもチェックしたいところです」 次回はこれら13本の7番を今野康晴プロが芝の上から比較試打し、実際の性能面を分析する。(取材・構成/中島俊介)