<青の球春・’24センバツ・山梨学院>/上 燃える静かな闘志 昨秋の接戦、新チーム「目覚める」 /山梨
3月18日に阪神甲子園球場で開幕する第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)に、3年連続7回目の出場を決めた山梨学院。連覇を狙う権利を得たが、3年生が抜けて新チームの甲子園経験者は1人だけ。吉田洸二監督(54)は接戦続きで勝ち上がった昨秋の県大会、関東大会を念頭に「昨年のセンバツは忘れて、秋の試合を思い出して頑張れたら」と、静かに闘志を燃やす。【佐藤薫、早川健人】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 昨年9月の県大会2回戦・甲府城西戦。新チームは手探り状態が続き、打線の中軸に1年生3人を起用したが、相手投手を打ちあぐねていた。 3―3で迎えた八回表。下位打線の万場(まんば)翔太(1年)、針尾泰地(2年)が連続安打。2盗塁と四球で満塁とし、1番打者の黒沢后琉(こうりゅう)(同)が相手投手の暴投を誘って勝ち越した。さらに敵失などでこの回に計4点を奪った。 この裏から登板した左腕の津島悠翔(はると)(1年)は「力が入り過ぎた」と2安打と四球で2死満塁のピンチを招いた。しかし一塁ゴロで切り抜け、九回は「(点差に)リラックスして投げられた」と3者凡退に抑えた。 中原義虎主将(2年)は「この試合まで浮ついた雰囲気があった。試合後のミーティングで、ここ2年の公式戦の記録をコーチ陣から示され、自分たちの敗戦が学校の敗戦になることを実感した」と振り返る。吉田健人部長(27)も「ここで目が覚めた。夜も練習するなどシフトチェンジした」と、県大会制覇へと走り出した。 関東大会の初戦は「投打が各県の2位校の中で頭一つ抜けていて、当たりたくなかった相手」(吉田監督)という昌平(埼玉)との対戦になった。 先発・桜田隆誠(りゅうせい)(2年)が力投し、1―1で延長タイブレークになって十回は互いに無得点。十一回表2死一、二塁で二村仁功(ふたむらにこう)(同)は三塁ゴロだったが、日ごろの練習から心がけていた全力疾走が三塁手の悪送球を誘った。二塁走者だった桜田は「いつも練習していた、2死二塁から本塁に突っ込む場面だ」と、ヘッドスライディングで勝ち越し点をもぎ取った。 桜田はその裏、「とにかく抑えよう」と3者連続三振(最後の打者は振り逃げアウト)。「これで甲子園が近づいた」と初戦を突破した。 吉田監督が「負けを覚悟して臨んだ試合だったので勝ててほっとした」と語る通り、チームは勢いをつけて次の準々決勝・桐光学園(神奈川)戦も延長タイブレークを勝ち抜き、桜田は11回を完投。準決勝・健大高崎(群馬)戦も桜田が6回3分の1をロングリリーフして、終盤の逆転勝ちにつなげた。決勝の作新学院(栃木)戦は大敗したが、センバツ切符を確実なものにした。 ◇ ◇ 山梨学院はスクールカラーの変更に合わせて2年前のセンバツからユニホームを青色が目立つデザインに変え、昨春のセンバツで県勢初優勝を成し遂げた。史上4校目の春連覇へ。「青の球春」が間もなく始まる。