つるバラの緑陰を楽しむ 美しい葉を維持して、涼し気な緑の空間に
バラは季節ごとにさまざまな変化や美しさを見せてくれます。『趣味の園芸』で連載中の「姫野流 つるバラを楽しむ12章」、第5回のテーマは「つるバラの緑陰を楽しむ」。今月は花が終わったあとのつるバラの葉に目を向けて、猛暑にほっとひと息つける涼しげな緑陰の楽しみに注目してみたいと思います。8月号より、一部抜粋してお届けします。 みんなのつるバラの写真
美しい葉も観賞の対象
バラのお花は美しいですが、開花時期は限られます。四季咲き性の品種でも本当に美しいのは年に数日くらいでしょうか。開花以外の時間のほうがバラ栽培ではずっと長いといえます。だとしたら、お花以外にも楽しみを見つけておきたいものですね。 多くの品種があるバラには想像以上に変化に富む美しさがあり、葉の美観はその代表的なものといえるでしょう。光沢のある深緑色の葉、明るい緑色の葉、少し青みを感じる葉、とがった葉、円みのある葉など、色彩から形状に至るまでじつにさまざまです。原種類も個性的な美しい葉をもつものが多く、見比べるだけでも楽しいものです。 つるバラのよく伸びる枝と美しい葉を利用して、夏に涼しげな緑陰を楽しむのも一興です。緑陰をつくるには大きな面積を覆う必要がありますから、一季咲き性のつるバラが中心となります。そのなかでも葉の茂りの多い品種が活躍します。 パーゴラなどの大型の構造物を置くスペースがないご家庭でも、鉢仕立てなどで葉の美しさは十分にお楽しみいただけます。 バラの花が終わると心に穴があいたような寂しさを感じてしまうことがあるかもしれません。8月号では、お花以外の楽しみをお届けしたく思います。 ●連載「姫野流 つるバラを楽しむ12章」 八ヶ岳でバラ農場を営む姫野由紀さんが、1年間の連載でつるバラの基礎知識、広さや高さに合った品種の選び方、美しく咲かせる栽培のコツ、思いどおりの風景をつくる仕立て方などをお伝えしていきます。 姫野由紀(ひめの・ゆき) バラ栽培家 1972年、兵庫県生まれ。10歳からバラ栽培を始める。一般企業勤務を経て故村田晴夫氏のばら園のスタッフに。2012年より八ヶ岳の農場を引き継ぎ、約1000品種のバラの苗木の生産・販売、品種選びや栽培管理のアドバイスを行う。つるバラやオールドローズをはじめ古花、名花にも造詣が深い。 『趣味の園芸』2024年8月号 姫野流 つるバラを楽しむ12章「第五章 つるバラの緑陰を楽しむ」より