イチロー&松井秀喜氏がデータ依存のメジャーリーグに「ストレス溜まる」と危惧、「日本も危ない」と警鐘
■球団ごとのカラーが違った90年代の日本野球 30年以上前になるが、1990年代は各球団のカラーがまったく違った。巨人が松井秀喜、清原和博、マルティネス、石井浩郎、高橋由伸ら長距離砲を揃えて本塁打を量産した一方で、横浜(現DeNA)は石井琢朗、波留敏夫、鈴木尚典、R.ローズ、駒田徳広ら巧打者を揃えて安打を打ち続ける「マシンガン打線」を構築し、99年にセ・リーグ記録のチーム打率.294をマークした。 当時現場で取材していたスポーツ紙記者は、「個人的にはあの時代の野球が一番面白かったですね。横浜と巨人の試合は5点差離れていてもセーフティーリードじゃない。大砲を揃えた巨人打線は守備力に不安を抱えていましたが、1発で試合をひっくり返す怖さがありました。横浜は石井と波留の1、2番がアイコンタクトや二人だけのサインで盗塁やエンドランを仕掛ける。同じ強力打線でも体現する野球が違いました。一方、当時黄金時代を築いたヤクルトは、野村克也監督の元で『ID野球』を提唱し、データを生かしつつ選手の感性を大事にしながら高度な野球を展開していました」と振り返る。 勝利を追い求めるための最善策を考えると、投手や打者がデータに頼るのは当然かもしれない。ただ、野球はロボットがやるのではない。緻密な駆け引きで、球速がない投手が強打者を打ち取り、進塁打や小技を駆使して相手投手を翻弄する戦術もファンを魅了する。 イチロー氏と松井氏の金言を、日本球界はどう受け止めるか。 (今川秀悟)
今川秀悟