ビットコインはいつ上昇に転じ、強気相場はいつまで続くのか──半減期の影響と今後の価格推移は?【bitbank長谷川氏・ロング解説】
下落に転じるのはいつ?
──史上最高値を更新するということは、どこかのタイミングで下落に転じることです。史上最高値後の下落はどのように考えていますか。 どのタイミングで折り返すかは、今回、ETFという要因があって予想が難しいのですが、これまでのサイクルを踏まえると、大体1年から1年半、長く見積もっても2年ぐらいと見ています。2026年は長期的な調整に入ってもおかしくないでしょう。 どんな相場でも、調整なしに上げていくことはできません。ただ今回は、サイクルが今までとは異なります。ビットコインETFに入ってきているお金は、短期を見据えているものはあまりないでしょうから、買い圧力に対する売り圧力のバランスは崩れると思います。 ──つまりは手放す人が少ないので、下げ圧力は生まれない。今回はそれほど下がらないかもしれないということですか。 下げる時間が短くなるでしょう。これまで、大体1年ぐらいかけて70~80%下げてきました。その期間も、下げ幅も縮まると思います。半減期は回を重ねるごとに「供給が絞られる量」も減ってきています。つまり、半減期のインパクトも軽減されています。 好材料のインパクトが強いですが、もちろん、リスクがないわけではありません。リスクのひとつは、ステーブルコインへの規制です。2年前のFTXショックからアメリカでは規制が強くなり、昨年はバイナンスのアメリカ法人が対象になりました。次にメスが入るとしたらおそらくUSDTの発行元のテザー(Tether)社ではないかと考えています。 最近、テザー社もリザーブ(裏付け資金)の透明性について改善してきているものの、裏側でどういう取引をしているのか、マネーロンダリング対策は十分なのかなど、深掘りされると痛いところがあるのではないかと思っています。 とはいえ、テザー社自体がすでに大きくなっているので、規制当局としては潰すようなことはしたくないと考えているでしょう。発行や流通のルールを整備してくるのではないでしょうか。テザー社が発行するUSDTによる流動性が低下すると、一番取引量の多い暗号資産ですので、ある程度のインパクトがあると思います。 もうひとつのリスクは、アメリカ経済です。1月に米地銀のニューヨーク・コミュニティ・バンコープが大幅な赤字決算を出しました。原因は商業用不動産ローンの不履行、つまり焦げ付きです。実は不履行率は今、コロナ直後のレベルを超えてきています。商業用不動産ローンは、地銀や中堅銀行のエクスポージャーが多く、そうした銀行の収益性が悪化するリスクがあります。 赤字や最悪の場合、破綻する銀行が出てくると、株式市場は弱含みになり、ビットコインにも下押し圧力がかかるでしょう。万一、昨年3月のような連鎖破綻が起きると、軽いショックになる可能性もあるので、潜在的なリスクのひとつとして認識しています。 ただ、これに関しては昨年もそうでしたが、ショックが起きればFRB(米連邦準備制度理事会)は緩和に傾いたり、流動性供給措置を行うので、影響は短いと思います。短期トレーダーは要警戒ですが、長期保有者にはさほど影響はないでしょう。 ──アメリカ経済にはどの程度、リスクが潜んでいると見ていますか。 実はそこの予測が難しいのです。先ほども言ったように、経済指標がかなりまちまちで、著しく弱いのは私が見ている限りでは、不動産ローンくらい。なのでタイミングを予測することは難しく、次の銀行決算などで市場の警戒感が再燃するのではないかと見ています。 ──日本経済はビットコインにはほとんど影響しないですか。 影響していません。コロナ直後は欧米でも日本の緩和マネーは注目され、ビットバンクでも日本円への入金パターンがあるのかどうか見ていました。ですが、本当に一部で、投資経験がある層から日本円への入金の増加が確認されましたが、全体としてはほぼ無風、影響はありませんでした。 最近は日経平均が上昇している局面でしたが、影響としてはビットコインETFだったり、史上最高値更新で新規参入者が増えるなど、日本経済の影響ではなく、ビットコイン独自の材料で動いたイメージです。