「語られにくいことを扱っていきたい」佐伯ポインティが“本音を自分語りできるコンテンツ”を提供する理由
「人に悩み相談をすること」で得られる効能
――今年7月から、お悩み相談に乗るポッドキャスト「佐伯ポインティの生き放題ラジオ!」を開設されましたが、なぜ、お悩み相談を受けるようになったのですか? 佐伯ポインティ: もともと、YouTubeチャンネルのコメント欄やInstagramの「やってほしいこと募集」で、お悩みを送ってくれる人が多かったんです。その人にとっては切実な問題なのに、どう調べたら答えが得られるのかわからない問題って、実はたくさんあると思うんです。そういう気持ちを言語化したり、質問したりしたい人がいるんじゃないかと思って始めました。 ――具体的にはどういった悩みが寄せられることが多いですか。 佐伯ポインティ: 自分の顔に自信が持てない、という悩みがきたとき、やっぱり……と思いました。「ルッキズムが内在化されてて、SNSを見ると自分がかわいくないことが辛い」っていうお悩みは、これから増えていって辛くなっちゃう人多いだろうなっていうのはなんとなく思ってたんですよね。InstagramとかTikTokといったビジュアルに関するコンテンツが増えてきていて、それが当たり前にある青春って見た目について悩んじゃうだろうな、と思ってました。 このテーマに関しては、もっと表情筋に注目が集まればいいのにと思ってました。「かわいくないから人生終わり。整形しないと……」の前に、表情筋で素敵になるっていう選択肢もアリじゃないかなっていう。もちろん、整形したいからする、というのは正当だと思うんです。だけど、表情筋という筋肉の積み重ねから生じる“いい顔つき”は、顔のパーツの整いとは別の魅力だと思ってて。見た目に関するお悩みをもらったことで、「表情筋について語れるチャンスきたー!」と思いましたね。 だから、一緒にいると嫌な気持ちになる知り合いを遠ざけたりとか、感情の元になる環境の手入れをしたりとか、よくない表情を作り出す要因になりそうなものを排除することが大切なんじゃないかなあ。例えば、厳しい表情を柔和にしたいのなら、無理に笑おうとするよりも、「自分がストレスを感じるのは、どんな時だろう」と振り返って対処する方がいいんじゃないかなという、表情筋信仰をしてます(笑)。 ――相談を受ける側として心がけていることはありますか。 佐伯ポインティ: お悩みの文章には、「客観的には重い悩みだけど軽い感じで言ってほしい」とか「軽い悩みだけどちゃんと受け止めてほしい」みたいに、相談者の無意識の意図が込められてると思ってて、その温度感を読み違えないように気をつけてますね。 あと、お悩みに回答する時は、断言しすぎないようにしています。何かを断言すると、いろいろなものを切り捨ててしまうことになるかもしれないので、「こういう悩みの受け取り方をする大人もいるよー!」という1つのケースを示せるように回答しています。 ――悩み相談をすることは、相談する側にとってどんなメリットがあると思いますか。 佐伯ポインティ: 悩みを相談するために文章にしているうちに、解決しちゃうこともあると思うんです。投稿読んでると、「あれ、文末で自己解決した!?」ってとき、結構あります。(笑)。悩みを文章化して相談する時は、自分だけが読む日記を書きたいわけじゃないから、相手に状況を説明しないといけない。だからこそ、お悩みに対して少し距離を置いて、自分から離すことで客観的になれるっていう効能があるんじゃないかなって思います。このメリットを実感してもらうためにも、今抱えているお悩みや、最近あった嫌なこと、知らない人になら言えそうなことなどがあれば、ぜひぜひ「生き放題ラジオ」でお待ちしております~! インターネット上では「自分語り」が嫌われる傾向がありますけど、「生き放題ラジオ」は自分語り大歓迎なので!人生の物語に触れられる、素敵な機会をありがとね……と思いながら読ませてもらってます。 ----- 佐伯ポインティ マルチタレント。1993年生まれ、東京都出身。早稲田大学文化構想学部卒業後、株式会社コルクに漫画編集者として入社。2017年に独立し、猥談系Youtuberとして活動をスタート。18年には日本初の完全会員制「猥談バー」をオープンした(現在は閉店)。24年7月からは「佐伯ポインティの生き放題ラジオ!」をポッドキャストで配信中。Spotifyの日本デイリーチャートでは最高順位1位を獲得。趣味はガチャポン、特技はおしゃべり、チャームポイントは大笑顔 文:都田ミツコ (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ·Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)