かろうじてタイトルの可能性が残ったホンダ陣営とSTANLEY CIVIC「正直、こういう結果は予想していた」牧野任祐/スーパーGT第8戦決勝
スーパーGT第8戦モビリティリゾートもてぎ、GT500の決勝は36号車au TOM'S GR Supraが2番手に20秒近くのギャップを築く圧勝で、ポイントランキングも2位の100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTに18ポイント差をつける結果になった。最終戦の鈴鹿では、予選日にもチャンピオンが決まるような状況となったが、36号車の今回の独走について100号車STANLEYの牧野任祐、そしてホンダ陣営の現場を率いる佐伯昌浩スーパーGTプロジェクトリーダーに聞いた。 【写真】スーパーGT第8戦もてぎ決勝、後半も苦しい戦いになったSTANLEY CIVIC TYPE R-GT 予選9番手から、3つ順位を挙げて6位フィニッシュを果たした100号車STANLEY。51kgのサクセスウエイトを搭載して、燃料リストリクター(燃リス)を制限されている状態での6位は悪くない結果と言えるが、いかんせん、同じ燃リスが入っている36号車auが圧勝しているだけに、牧野にも笑顔は見られない。 「悔しいですけど、正直、予選で36号車が3番手になった時点で、こういう結果になるだろうなとは予想していました」と、冷静に話す牧野。裏を返せば、100号車陣営は今季の36号車の強さをしっかりと認識していたからこその見立てでもある。 「ドライでも速いと思っていたので、今日は36号車に勝たれるだろうなと。ここのもてぎでの事前テストでも36号車のロングランはすごく速かったので、今回遅い理由が見当たりませんから。ですので、36号車が優勝したことに驚きはないです」 100号車にとっては、ここ数戦、ウエットコンディションでのタイヤとのマッチングがイマイチで、このもてぎの予選でも36号車auの3番手に対して、100号車は9番手と遅れをとってしまったことが、オーバーテイクの難しいもてぎの決勝レースにも響いてしまった。 「同じようなサクセスウエイトのハンデで、やっぱりチャンピオン争いをしているライバルが前に行っているというのは事実なので、そこは大きかったかなと思います」と牧野。 それでもスタートを担当した牧野はなんとか上位に行けるよう、あらゆる手を尽くした。 「ファーストスティントは燃費をだいぶセーブしていましたけど、ペース的には良さそうでした。クルマの調子は良かったと思うのですけど、やっぱりもてぎは抜きづらいですし、集団のパックの中に入っちゃうとこう着状態になるのもあるし、やっぱり燃リスが入っているから、他と比べたらキツイ状況であったのはあった。レース展開は正直、僕らは難しかったですけど、やれることはやったかなとは思います」と牧野。 24周目のピットインでも6台が同時に入った中で、先頭でコースインしてアンダーカットに成功するも、後半の山本尚貴も6番手を守るのが精一杯という状況だった。結果的に6位でランキング2位にはなった100号車STANLEYだが、ポイント差を考えても、牧野にはタイトルについての意識はあまりないようだ。 「チャンピオンシップに残って最終戦を迎えるというのは大事なことだと思いますけど、ただもう、(自力で逆転できない)相手次第なので、自分たちは優勝だけを目指して戦えればなと思います」 ホンダ陣営を率いる佐伯昌浩スーパーGTプロジェクトリーダーも、シビックがフロントロウを独占した予選からの大逆転されたレース展開に、肩を落とす。 「予選はワン・ツーという形でスタートしましたけど、64号車(Modulo CIVIC TYPE R-GT)よりも8号車(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT)の方がペースが良くて、8号車は一度トップに立ったのですけど、フルコースイエロー明けに36号車に行かれてしまったというのが、今回のレースにしても、チャンピオンシップにしても大きな差になってしまいました」 「8号車は後半、38号車を抜いて2位に上がった時には結構、いいペースで走れていたので、今のこの3メーカーのパフォーマンスが拮抗したクルマで抜きづらいもてぎとなると、ペースの悪いクルマに引っかかると、オーバーテイクが難しいという状態が続くので、本来ならポールを獲って逃げ切りという形が取れればベストだったのですけど、逆にそれを一番やられてはいけない36号車に前に行かれてしまったというのが、今回の敗因だったかなと思います」 ホンダ陣営として、実質的に今季のチャンピオン争いの敗戦が濃厚となってしまった今回のもてぎ戦。佐伯リーダーに今季のニューマシン、シビックがGRスープラに敗れたのか、それとも36号車のチームに敗れたのか聞いてみる。 「ウチがちょっと、残念なことが多かったという印象です。もう少し、同じような形で戦っていたらどうだったかなと。実際、100号車がランキング2位にいるということは、他の(ホンダ陣営の)クルマも、もう少ししっかり戦えていたら、どのあたりにいたのだろうとは思います。36号車は去年も今年も飛び抜けて速いのですけど、シビックが他のスープラと比べて、そんなに大きく劣っているとは感じていません」 シーズンを通しては36号車が圧倒的な強さを見せてきた中、果たして、今季最後の鈴鹿戦でシビックとホンダ陣営はどんな意地を見せるのだろうか。 [オートスポーツweb 2024年11月04日]