「TVer」軸に動画配信がけん引 TBSHDは売上高が過去最高、テレ東HDは最高益 民放キー局決算
民放キー局5社の2024年3月期連結決算は、視聴率の低下などを背景にテレビ広告の減収が続く一方、民放公式テレビ配信サービス「TVer」を中心とした配信広告収入が事業をけん引した。4社が増収となり、TBSホールディングス(HD)の売上高は過去最高を記録。唯一減収となったテレビ東京HDも、経常利益と純利益は過去最高を更新している。 【関連写真】民放キー局5社の2024年3月期連結業績 フジ・メディアHDは、メディア・コンテンツ事業、都市開発・観光事業が伸び、増収・営業増益。動画配信サービス「FODプレミアム」を中心としたデジタル事業収入などが前年を上回り、前期比26.9%増。デジタル事業は売上高229.4億円を達成した。TVerなどの配信広告は同61.6%増と大幅に伸びた。 25年3月期は番組コンテンツの強化に注力し、放送と配信の広告収入と共に、さまざまなコンテンツビジネスで収益源の多様化を目指す。 日本テレビHDは増収・営業減益。デジタル広告収入はTVerなどによる動画広告が堅調で前期比33.3%増。興行収入は同47.2%増と大幅に伸長。 アニメビジネス展開やコンテンツグローバル展開、番組と連動したIP(知的財産)ビジネスも順調。4月からの新編成戦略「コアMAX戦略」で、視聴率でも配信再生数でもトップを目指す。 TBSHDは売上高が過去最高を記録。配信広告収入はTVerを中心に好調で同45.4%増。有料配信収入は海外配信収入が貢献し、同36.5%増の大幅な成長を見せた。両収入を合わせて200億円を超えた。 25年3月期は増収・営業増益を予想。「TBSグループ中期経営計画2026」の初年度として、拡張戦略「EDGE」による成長を加速し、コンテンツポートフォリオの拡充を目指す。 テレビ朝日HDは増収・営業減益。テレビ放送事業は、東京地区のスポット広告の出稿量が前期を下回ったことなどから、売上高は前期比1.3%減、営業利益は同37.7%減だった。インターネット事業では、サイバーエージェントとの共同事業「ABEMA」が、MLBやサッカープレミアリーグなどスポーツコンテンツがさらに充実し、WAU(週間アクティブユーザー数)が2300万前後で推移し好調。 成長領域として、コンテンツ強化をベースに、インターネットを中心にあらゆるコンテンツを展開していく。 テレビ東京HDは、経常利益と純利益が過去最高を更新。タイム・スポット収入が減少する一方でアニメ・配信が好調で、営業利益は前期比4.3%減ながら、歴代2位の水準。純利益は同0.2%増と2年連続で過去最高を更新した。アニメ・配信事業の営業利益はアニメの商品化ビジネスやドラマの配信が好調で同12.1%増だった。 24~26年度中期経営計画では、アニメ・経済報道・独自IP事業の強化でさらなる成長を目指している。26年度に営業利益115億円を目標とする。
電波新聞社 報道本部