交渉相手の本音をダダ漏れさせる「たった2文字」の魔法の言葉
交渉に苦手意識を持つビジネスパーソンは少なからずいます。商社マンとして33年間、1万件以上の交渉に携わったビジネス交渉コンサルタントの生駒正明氏は「少し意識の持ち方や見方を変えるだけで、交渉がうまくいくようになる」と言います。生駒氏の『なぜかうまくいく交渉術』(秀和システム刊)から交渉上手な人が交渉するときに実践していることを紹介します。 【この記事の画像を見る】 ● 相手の反応を見ながら 臨機応変に対応する 交渉において、まず何を意識するかがとても大切です。でも、ただ意識するだけでは交渉はうまくいきません。その意識を行動に移すことが必要です。 そして、交渉準備の仕上げとして、ロールプレイを行うというお話をしました。 いよいよ、ここからは実交渉になります。 実際の交渉では、思いもよらないことが起こるものです。 大切なのは、相手の反応を見ながら臨機応変に対応することです。相手の反応を見るというのは、発言内容だけでなく、表情や態度も観察することです。これによって、相手の本音や気持ちを理解するのです。
● 選択肢(取引カード)を どう提案するかを考える 交渉の準備をする際に、選択肢をリストアップすることはとても大切です。 まず、交渉の基本として、最初のオファーは相手にさせることが重要です。これは、相手が何を考え、何を重視しているかを知るためです。事前に調べた情報が実際と違うこともあるので、相手の出方を見ながら進めることが大切です。 そして、相手の反応を見てから提案をすることが効果的です。 選択肢の取引カードのリストはすでに用意していますが、これを相手の様子を見ながら、相手が受け入れやすいものから順番に提示します。選択肢というのは要望の項目でもあり、譲歩の項目でもあります。要望を取り下げれば、それは譲歩になります。そして、どの選択肢を譲歩するかは、大切な要望を通すための戦略にもなります。 相手のニーズに対して、自分の強みをどう打ち出すかが重要です。 相手にとっては非常に重要だけれども、自分にとってはそれほど重要でないもの、つまり譲歩しても負担が少ないものを取引カードとして使います。 私の商社時代の話です。コートを生産し、大手小売店に納めていました。コートは寒くなると急に売れ出す商品です。 当初は1箇所の総合センターに納品する予定でしたが、寒波が来たために、先方から1日でも早く納品してほしいと依頼がありました。 それに応えて、全国数カ所に裁縫工場からコートを直送しました。これにより、先方は1日~2日、早く各店舗に商品が届き、先方は大きなメリットを得たのです。 当時、運送会社とのパイプもあり、全国配送についてもそれほど負担ではありませんでした。しかし、先方にとっては非常に大きなメリットとなったのです。