【パリコレおさらい】「ミュウミュウ」「アンダーカバー」が圧勝の2024年春夏 超辛口な海外ジャーナリストたちの評価
多くのメディア同様に、米「WWD」もハーストの偉業を評価した。「ハーストの時代に『クロエ』は、素材に対する透明性を備えた、Bコープ認証を受けたブランドとなった。環境への影響が少ない農法で栽培されたリネンや、世界的なオーガニックテキスタイル基準の認証を取得したシルク、フランスの農場から調達した皮革などだ。さらに、トレーサビリティー(追跡可能性)と再販による循環性の促進を目的とし、23年春夏コレクションから衣類にデジタルIDを組み込み始めた。彼女は、『クロエ』と自身のブランドとのバランスをとりながら、全てを成し遂げた」。新たにクリエイティブ・ディレクター就任したシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)による新生「クロエ」は、2月のパリコレで間もなく本格デビューする。
「アレキサンダー・マックイーン」
カリスマの美学を発展させた13年間
24年春夏シーズンで最も感情を喚起したショーは、サラ・バートンによる「アレキサンダー・マックイーン」だと誰もが口をそろえるはずだ。バートンは、1996年に同ブランドのデザインスタジオに入り、2010年2月に創業者リー・アレキサンダー・マックイーン(Lee Alexander McQueen)が40歳でこの世を去った後、同年5月にクリエイティブ・ディレクターに就任した。バートンが一から手掛けた11年春夏シーズンは「アレキサンダー・マックイーン」らしい美学が浸透したスタイルに、フェミニンな要素を加えたコレクションで好評を博し、その後も創業者のシャープなテーラリングと、ダークかつグラマラスな世界観に忠実なコレクションを、13年という長年にわたって提案し続けてきた。11年には英国王室のキャサリン妃のウエディングドレスを手掛け、同年にブリティッシュ・ファッション・アワード (現ザ・ファッション・アワード)でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。12年には、ファッション業界への貢献が認められ、チャールズ皇太子(当時・現在は国王)から大英帝国勲章(OBE)が授与された。