医師が警鐘を鳴らす、“産後尿もれ”を放置することの危険性「将来、子宮や膀胱、直腸が出てしまうことも」
女性特有の悩みや下半身のトラブルなど、人には言えないお悩みに対して、女性泌尿器科の関口由紀子先生がアドバイスをお伺いします。 今回は出産後に多くの女性が経験する尿もれついて相談が寄せられました。 【更年期チェックリスト】完璧主義者は症状が出やすい!? 「更年期障害」になりやすい性格、環境とは…… <今回のお悩み> 「30代後半です。4年前に長男、2年前に次男を出産しました。最後の出産から2年経ちますが、くしゃみや咳をしたときなどに尿もれをしてしまいます。このまま放置していていいのでしょうか? 何か対処法はありますか?」
妊娠・出産で骨盤底が傷むことが尿もれの原因
出産後に尿もれをするのは、妊娠や出産で臓器の1つである「骨盤底」が傷むからです。 骨盤底は恥骨から尾骨に至る菱形状のプレート臓器で、靭帯、皮下組織、筋膜、筋肉からできていて、子宮や膀胱、直腸と支えると同時に、骨盤内臓筋の指示と排泄を司っているところ。 分娩時はホルモンの働きで膣が緩み、赤ちゃんが出てきやすくなっています。 ただ、大脳の発達によって赤ちゃんの頭の大きさが経膣分娩するのにはほぼ限界まで大きくなっていることもあり、出産時に骨盤底の靭帯や皮下組織が損傷を受け、それが尿もれの原因になるのです。 けれども、帝王切開なら骨盤底が傷まないわけではありません。 赤ちゃんをお腹に宿して20週以上生活しているだけで、その重みで骨盤底は傷むため、帝王切開で出産した場合も尿もれになる可能性があります。 出産した女性の約80%が尿もれを経験しますが、そのうちの90%は1年後に尿もれが気にならなくなるといわれています。 残りの10%はハイリスクグループに分類され、高齢出産をした人や出産経験が多い人、遺伝的に骨盤底が弱い人は1年経っても尿もれに悩まされています。
尿もれを放置すると年齢を重ねるごとにひどくなる!
出産後1年すぎても尿もれが解消されないハイリスクグループの人は、そのまま放置するとどんどんひどくなる可能性があるので注意が必要です。 何も対処しないで50代になると、女性ホルモンの分泌量が減ることも一因となって、頻尿になったり、尿もれが進行してしまいます。 ひどいケースでは、動いた瞬間、くしゃみ・咳をしただけで尿もれをするように。 それが60代になると、尿意を感じたらすぐに尿が出てしまう「過活動膀胱」になり、70代では膣口から子宮や膀胱、直腸が出てしまう「骨盤臓器脱」になることもあるので、早めに対処をした方がいいでしょう。