医師が警鐘を鳴らす、“産後尿もれ”を放置することの危険性「将来、子宮や膀胱、直腸が出てしまうことも」
膣トレーニングで骨盤底を鍛える!
授乳をしている場合は、プロダクチンという母乳を作るためには欠かせないホルモンが脳下垂体から分泌されています。 プロダクチンが分泌されている間は男性ホルモンや女性ホルモンの分泌量が下がったままになるため、骨盤底が引き締まりづらくなり、尿もれが続いてしまいます。 もし尿もれがひどく、気になるようなら、早めに断乳をした方がいいでしょう。 もう1つの対処法は、排泄を司る骨盤底筋をトレーニングで鍛えることです。 このトレーニングに関して、以前は肛門と膣をギュッと締めるようにして、グッと持ち上げるという話をしていましたが、これでは正しく骨盤底を鍛えられないことも。 間違った方法でトレーニングしてもあまり意味がないので、まずは正しい筋肉の動かし方を知る必要があります。 そのため今は、お風呂に入ったタイミングなどで、膣の中に第二関節くらいまで指を入れ、その指をギュットしめるようにして持ち上げられるか確認するように伝えています。 「膣に指を入れるなんて!」と思う人もいるかもしれませんが、自分の体を自分で守るためには、自分の膣のこと、性器のことをちゃんと把握していなければダメ! そうでないと、これから訪れる100年時代は生きられません! 出産前はできても、出産後には膣の中に入れた指を締められない、持ち上げられない人が多くいます。 練習していくうちにでできるようになるので、できなくても焦らず、リラックスして行いましょう。 正しい力の入れ方がわかったら、朝、昼、晩と各10回ずつ、息を吐きながら力を入れ、そのままの状態を5~10秒キープするというトレーニングを行いましょう。 このトレーニングを行うことで骨盤底が鍛えられ、尿もれをしなくなります。
【Profile】女性医療クリニックLUNAネクストステージ 理事長 関口由紀先生
日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医、日本排尿機能学会認定専門医、日本性機能学会認定専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医など。山形大学医学部を卒業後、横浜市立大学医学部泌尿器科に入局、女性泌尿器外来の担当となる。2005年に、女性が豊かで健康的な人生を送ることができるように医療の側面からサポートしたいという想いで、『横浜本町女性医療クリニック・LUNA』を開設。2018年には、横浜市内に点在していた施設をまとめ、50歳以上の女性を対象とした、女性泌尿器科、女性内科、皮膚科、美容皮膚科、形成外科を受けられるうえ、骨盤底のリハビリレーションを受けられる『女性医療クリニックLUNAネクステージ』を開設。著書に『セックスにさよならは言わないで:悩みをなくす膣ケア手引』(径書房)、『温かくしてしなやかな「ちつと骨盤」が体と心を幸せにする。』(日本文芸社 )などがある。