NMB48 安部若菜「アイドルは“夢ハラスメント”を受けている」現役アイドルが芸能スクールを舞台に描く、理想の居場所とは?【インタビュー】
誰かの「居場所」になる作家になりたい
――ちなみにこの本はどんな人に届けたいと思って書いたんでしょう? 安部:自分と同世代の20代、この本の主人公たちの10代とか、ちょうど夢とか自分の居場所とかに悩んでいる子に読んでほしい。苦しんでいる中で、何かちょっと息抜きになるような本になったらいいなっていう思いで書いていました。 ――作者としてはこの登場人物たちはどうなっていってほしいですか? 安部:彼らは芸能界に入りたいっていう夢を持っているので、もちろんそれが叶えてくれるのが一番いいかもしれません。 けど、でもその芸能界が本当にその子にあってるかどうかはまた別の話なので、いろんな紆余曲折を経て、30、40歳とかになった時に「ここが居場所だったんだな」って思える場所を見つけてくれたら一番嬉しいですね。夢を叶えたからといって居場所じゃないよなっていう思いは、やっぱり一番あるので。 ――ちなみにご自身にとって、理想の居場所ってどういうものですか? 安部:そこにいてしっくりくるというか、もうちょっとここにいたいなとか思える場所かな。ああ幸せだな、みたいに思えるというか。もしそこでしんどいことや大変なことがあったとしても、でもやっぱりそこにいる自分が「好き」って思えるなら、それが一番理想の居場所かなと思います。 仕事とか家庭とかにでもなく、趣味の場所が自分にとって安らぐ居場所って人もいると思うし、この本のような夢の先に限らずに居場所はいろいろあるんだと思います。 ――ちなみにご自身も小説だけでなく、落語や投資といろんなことにトライされていますよね。どこか「居場所を探す」みたいなところもある? 安部:すごくあります。アイドルっていろんなことをやってみて「一番はこれだ」みたいなのを探せる仕事でもあると思うんです。私はアイドルになった次にやりたいことがなかったので、とにかくバラエティとかいろんなことを「まずはやってみる」ことから始めました。 でもこうやって本を書くのが、今は一番楽しいと思っています。2作目も出させていただけて、自分にとって「書くこと」が支えになってきているのを実感します。 ――いいですね! これからどんな作家になりたいですか? 安部:今はまだ「自分で作家って名乗っていいのかな?」ぐらいの感じですが、私も本が好きで、「この作家さんの新刊出るのが楽しみだな」とか、それを読んでいる時間が支えになったりとかしているので、私もいつか誰かに「この人の本を読むためにがんばって生きよう」って思えるぐらいの人になりたいです。 ――「居場所」になるんですね! 安部:はい。居場所になれるような作家になりたいです。 取材・文=荒井理恵、撮影=中林香