安室奈美恵など、大物アーティストによるアニメ主題歌が増えているのはなぜ
歌手・安室奈美恵の新曲『Hope』が、フジテレビ系アニメ番組「ワンピース」の主題歌に起用されることが発表された。 同曲は、同アニメのために制作期間約半年間をかけて書き下ろされた曲で、仲間同士の“絆”が未来への答えを導く“希望”となることを歌っているという。 最近は、日本を代表する演歌歌手の一人である氷川きよしが同局系人気アニメ「ドラゴンボール超」の主題歌『限界突破×サバイバー』を歌うなど、大物アーティストがアニメの主題歌を担当するケースが増えている。
古くはジュリー、「ゴダイゴ」も
大物アーティストによるアニメソングの歌唱といえば、古くは沢田研二が人気絶頂だった1978年に公開されたアニメ映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」のエンディングテーマ『ヤマトより愛をこめて』を歌い、1979年には人気バンド「ゴダイゴ」がアニメ映画「銀河鉄道999 The Galaxy Express 999」の主題歌(※映画と同タイトル)を手掛けたことで知られている。 とはいえ、こうした一部の映画などの“タイアップ”を除いて、大物アーティストがテレビアニメの主題歌を担当することはマレだった。 レコード会社のベテランスタッフはこう語る。 「昔は、流行歌やポップスなどと比べると、アニソンの社会的地位は低かった。近年では大人が楽しめるアニメ作品も増えて、民放キー局でも大人向けのアニメが子供の視聴しない深夜に放送されたりしていますが、昭和の時代はテレビ局の編成上でもアニメ番組が放送される時間帯は平日の夕方や午後7時台だったり、日曜日の朝だったり、明らかに子供向けに特化されていました。こうした背景もあり、アニメの主題歌に関しても、売り出し中の若手アーティストだったり、バンドだったりにとっての“登竜門”的な立ち位置でした」
アニソンの社会的地位が向上 ミリオンヒット曲も
実際、後に人気歌手となる故やしきたかじんさんはブレーク前の1981年に公開されたアニメ映画「機動戦士ガンダム」の劇場3部作の第1作の主題歌『砂の十字架』を歌唱してヒットを飛ばしたが、ジャケットに自身の写真が使われなかったなどの問題もあったとはいえ、同作について“人生最大の汚点”と語っていた。 だが、時代が経つとともにアニソンおよびアニソン歌手の社会的地位も向上。 00年代に入ると、倉木麻衣の3rdシングル『Secret of my heart』が同局系アニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマソングにも起用されてミリオンヒットを記録するなど、大物アーティストとアニメのコラボも目立つようになっていく。 「日本のアニメが国内の大人たちはもちろん、海外でも高く評価されていることを受けての現象だと思います。かつては大物アーティストといえば人気ドラマとのコラボが定番でしたが、ドラマの視聴率が苦戦する中、ドラマよりもコアなファンを持ち、世界にも通用するアニメの方がアーティストサイドにとってもプラスの面が大きいですしね。ファン層を拡大するというメリットもあると思います」(同レコード会社のスタッフ)