なでしこジャパン、サッカー男子日本代表チーム…日本代表選手の食を支え続けてきた料理人が教科書に
食材をパッキングするだけで2日かかることも
パリオリンピックの女子サッカー・グループリーグ2戦目、ブラジル戦で劇的な逆転ゴールを果たしたなでしこジャパン。彼女たちの栄養面を支えているのが、専属シェフとして大会に帯同している西芳照さんだ。 【画像】美味そう! 「なでしこジャパン」の勝負メシ…! ’04年のW杯ドイツ大会アジア地区予選から’22年W杯カタール大会までは、サッカー男子日本代表チームの専属シェフとしてチームに帯同。選手たちの食を支えてきた。来春から使われる中学の英語の教科書で「成功を支える人」として紹介されることになったが、 「料理人として、ふつうのことをやってきただけです。みんなが喜んでくれるご飯を作ってきた。その結果として日本代表チームが、いい成績を収められるようになったら、うれしいことです」 20年間、お客さんが通い続けてくれる料理店はいくらでもある。それと同じことをしてきただけと、少し照れ臭そうに西さんは言う。 しかし、帯同すれば朝昼晩スタッフを含め50人以上の食事を用意しなければならず、しかも日本とは食材も文化も違う国で作らなければならない。苦労も多かったはず。 「イランに行ったときは、ちょうどイスラム教徒が断食するラマダンの時期だったんです。マーケットもすべて閉まってしまって、現地で食材を調達することができない。すべて日本から持って行くにも超過手荷物料がかかってしまう。何を優先的に持って行くのか、事前準備がたいへんでした」 海外に帯同することになると気温、風土(湿度によって食中毒の心配があるので)、食料事情、特産料理、宗教によってどのような制限があるのかなどを調べ、情報が集まったところで、だいたいのメニューを決め、日本から持って行くもの、現地で調達する食材を決める。 魚は下処理をして1回分ずつパックして冷凍し、発泡スチロールの箱にパッキングして、冷気がもれないように密閉。W杯の遠征は1ヵ月に及ぶこともある。それだけの期間の食材をパッキングする作業だけで2日かかるという。 聞いているだけで疲れそう。日本でお店をやっているのとは全然違う。 ◆煮物で喜んでくれるなら太巻き寿司も作っちゃおうかなと……おいしいと言われるのが励み 日本代表チームに帯同する以前、西さんは福島県にできた総合スポーツ施設Jヴィレッジのレストランで総料理長だった。それが縁で日本代表チーム専属シェフになったわけだが、Jヴィレッジを利用するのはアスリートたち。ここでは管理栄養士と一緒にメニューを考えて、なぜこの食材が必要なのか、何が大事なのか勉強させてもらったという。そのときの経験をもとに海外の遠征先では西さんがメニューを考えている。 「基本的に肉料理と魚料理は必ず入れるようにしています。また、サッカー選手はエネルギーとなる炭水化物、とくにごはんをしっかり食べることが大事なので、ごはんが進むようにふりかけや梅干し、納豆なども用意します」