「老後資金は2,000万」…いや、4,000万円必要です。FP山崎俊輔さんが5つの対策を伝授
対策4. iDeCoやNISAで積み立てする
iDeCoやNISAは、「老後に2000万円」の第一の対策と考えられがちですが、あえて最後に持ってきました。とはいえ、投資は重要です。今の1万円が20年後の1万円の価値を持たない(物価が上がるので)としたら、物価上昇分くらいを運用で増やしておく必要があります。 一般論としては物価上昇率を投資のリターンが上回ると考えられます。現在の銀行預金の金利は、物価上昇率に明らかに負けている状況ですから、その点でも投資のリターンを資産形成に組み入れる必要があります。 だとすれば税制優遇のある資産形成口座を利用したい。選択肢となるのはiDeCoとNISAです。積立額そのものがその年の所得税、翌年の住民税を軽くしてくれるのがiDeCoの魅力です。iDeCoとNISAは、どちらも運用収益が非課税となります。この2つの制度は賢く利用し資産運用に活かしたいものです。 どちらも短期売買には向いていませんので、少額からの積立を継続し、国内外に分散投資をして長い目で育てていくことをおすすめします。
【最後の対策】出費を減らしてシンプル老後に徹するのもあり?
もう1つ、究極の「老後に4000万円」対策があるとすれば、老後の生活をシンプルにすることです。実のところ、「老後に300万円」で足りる人もいれば「老後に5000万円」で足らない人もいます。その差は何かというと「生活水準」につきます。 「会社を辞めたあとも月50万円は必要」という人はそれに見合う「老後にXXXX万円」になります。たくさん使う人はたくさん準備する必要がある、ということです。逆にいえば、「年金収入=日常生活費」とすれば、何十年長生きしてもお金に困ることはありません。 年金額は物価上昇率を少し下回る設定となっていますが(マクロ経済スライド)、それでも今年度の年金額はプラス2.7%となっており、定期預金よりはよほど物価に対応してくれています。 老後の人生を想像して、今どうするかを考えよう 「老後に2000万円」と騒ぎになりましたが、実はこれ、飲み食いするにも困るという話ではありません。そこで不足する月5万円は何かといえば、旅行だったり趣味・娯楽費だったり交際費です。孫にあげるお年玉代などもこれに当たります。 旅行に行かない人が、月2万円分出費が減れば、「老後に1260万円」ですみます(月3.5万円×30年)になります。お金のかかる趣味は特にないという人は、「老後に720万円」かもしれません(月2.0万円×30年)。これなら物価上昇があってもそう怖いものではありません。 「老後に2000万円」はもともと「老後にエンジョイしたいなら、現役時代のうちにそのためのお金を確保しておこう」というメッセージであって「貯めなければ生きるのが困難になる」という話ではありません。 現役時代はできるだけ貯め、できるだけ増やす努力をしたならば、リタイア後は自分にちょうどいい「老後に○○○○万円」(あえてXXとはしない)を考えていけばいいのです。 物価上昇へ対応することも大切ですが、自分らしい生き方をリタイア後もしていくために、まずはいくら必要かじっくり考えてみてほしいと思います。 山崎俊輔 フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。
山崎俊輔