「GQ MEN OF THE YEAR 2024」授賞式開催──2024年、世界に活力を与えた勇者たち
12月5日(木)に東京・六本木の国際文化会館で行われた「GQ MEN OF THE YEAR 2024」の授賞式記者会見、ならびにアフターパーティの模様を速報でお伝えする。 【写真を見る】授賞式の様子をチェック!
平野紫耀が、今年1年を漢字1文字で表すと……
「GQ MEN OF THE YEAR」は、圧倒的な活躍をすることで、私たちに勇気や活力を与えてくれた人を讃えるアワードだ。アメリカでは1994年にスタート、日本でも今回で19回目を迎える。 12月5日(木)、「GQ MEN OF THE YEAR 2024」の授賞式、ならびにガラディナーとアフターパーティが開催された。 今年の会場は、東京・六本木の国際文化会館。前川國男、坂倉準三、吉村順三という3人の建築家が設計に携わった、日本のモダニズム建築を代表する名建築として知られる。オーセンティックな雰囲気のエントランスに、このイベントに協賛するディフェンダーの威風堂々としたSUV、ディフェンダー110が映える。ここに、10組の受賞者が集った。 プログラムは、受賞者の記者会見からスタートした。 トップバッターは、ベスト・アスリート賞の堀米雄斗。スケートボード男子ストリートで、東京五輪に続いてパリ五輪で連覇を達成した堀米は、いつものようにクールな表情で、「3年前にこの賞をいただいたときには会場に来られなかったので、今日はうれしいです」と、喜びを語った。 来年の抱負を問われると、表情を引き締めながら次のように語った。 「スケートボードで一番歴史のある、タンパ・プロという大会があります。いま、2連覇していますが、3連覇した人はいません。来年はぜひ、3連覇を果たしたいです」 続いて姿を現したのが、ブレイクスルー・アクター賞を受賞した俳優の仲野太賀。NHK連続テレビ小説『虎に翼』や、映画『笑いのカイブツ』といった話題作で印象的な演技を見せた。仲野は、「めちゃめちゃイケてる賞だと聞いています」と笑いを誘う。「今年、仲野さんが讃えたい人は?」という質問には、こう答えた。 「『虎に翼』で共演した伊藤沙莉さんと、『新宿野戦病院』でご一緒した小池栄子さんですね。ともに心を震わせながら素晴らしい作品を作ることができました。おふたりがいなければ、ああいう作品にはならなかったかもしれません」 3人目は、ベスト・アスリート賞の北口榛花。パリ五輪の女子やり投げにおいて、日本女子史上初となるフィールド種目の金メダルを獲得した。シックなドレスに身を包み、大輪のひまわりのような笑顔で現れた北口は、2024年の活躍を次のように振り返った。 「成績としては順風満帆に見えたかもしれません。けれども、実際はまわりの助けなしには達成できなかったことばかりなので、周囲に感謝したいです。ご褒美は、お休みですかね。いろいろと行ってみたい場所があるので、家族と出かけたいです」 大人の余裕と風格を感じさせながら登場したのが、ベスト・コラボレーション賞の岡村和義。岡村靖幸と斉藤和義が2023年末に結成したこのユニットは、奇跡のような化学反応でオーディエンスを魅了した。 「お互いにオブ・ザ・イヤーを授けるとしたら?」という質問に、まず岡村靖幸はこう答えた。 「もともと仲が良くて、ここ2、3年は一緒に楽器のあるお店で音を出したりしていました。それが仕事でも相棒として1年を駆け抜けた。だからバディ・オブ・ザ・イヤーですね」 対する斉藤和義は、岡村に「仕事・オブ・ザ・イヤーを授けたい」と語る。 「去年の暮れに活動をはじめてから、毎月、曲を作って配信をしたり、新鮮な気持ちで仕事ができました。来年も広がっていけばいいなと思っています」 高い演技力だけでなく、脚本制作から宣伝会議に至るまで参加するという、作品に真摯に向き合う姿勢が高く評価される杉咲花が、ベスト・アクター賞を受賞。正面から物事と対峙する姿勢はこの記者会見でも貫かれていた。 「今年、讃えたいと思った人は?」という問いに対して、映画『52ヘルツのクジラたち』でトランスジェンダー監修を務めた若林佑真の名前をあげた。そしてトランスジェンダーの当事者、有識者として、さまざまな角度から意見を発して制作に貢献してくれたとして、感謝の言葉を述べた。 続いて登壇したのが、ブレイクスルー・エンターティナー賞のファーストサマーウイカ。NHK大河ドラマ『光る君へ』では清少納言を好演、TBSドラマ『不適切にもほどがある!』にもゲスト出演するなど、自身の活躍の範囲を大きく広げた1年だった。 登壇するや、「1曲歌います! ……、ウソです」と笑いをとったファーストサマーウイカは、こんな言葉で今年一年を振り返った。 「あっという間の1年でしたが、特にNHK大河ドラマで清少納言という大役をいただきまして、周囲の反応が少し違うので、影響力を感じています。これが活力や自信になって、次の5年、10年、50年もがんばっていけると感じました」 ベスト・ミュージックグループ賞を受賞したNumber_iの3人、平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太が姿を現した。2024年1月に発表したデビュー曲『GOAT』が米国iTunes総合チャートでトップ10入り、世界最大級の音楽フェスティバル「コーチュラ2024」にも出演するなど、グローバルで存在感を示した。 「今年1年を漢字で表すと?」という質問に、平野は「味」を選んだ。 「海外に出ていろいろな食材を味わいましたし、僕たちの楽曲も聞けば聞くほど味があります。ファンやリスナーのみなさんも、味わっていただけたと思います」 岸が選んだのは「轟」。 「自分たちも新たな経験をして、驚きを超えて轟になりました」 この発言に、神宮寺と平野は「読み方が近いだけで、意味が違うんじゃないの?」と突っ込む。このやりとりからも、チームワークのよさが伝わってきた。 記者会見の掉尾を飾ったのが、ベスト・アーティスト賞の村上隆。JP THE WAVYとのコラボユニット「MNNK Bro.」結成や、NewJeansとのコラボレーションなど、エンターテインメントの世界を巻き込むことで、アートのさらなる可能性を示した。なお、村上は「GQ MEN OF THE YEAR 2024」の受賞者を掲載した『GQ JAPAN 1&2月号』の表紙のアートワークも担当している。 これから成し遂げたいことを問われた村上は、こう答えた。 「戦争が起こりそうなので心配しています。明日からパリ、ロンドンに行く予定で、先日パリの人と話をしていたら、みんなビビっていた。日本と温度差があるので、戦争が起きなければいいなと思います」 ■アフターパーティで魅せた圧巻のパフォーマンス 授賞記者会見に続いて、受賞者によるクロストークが行われた。最初のグループは、岡村和義、杉咲花、仲野太賀、ファーストサマーウイカ。 ここでは、共演したことがあるという仲野と杉咲のやり取りが興味深かった。仲野は言う。 「12年前に『黒の女教師』というドラマで、僕らはクラスメートという設定で共演しました。花ちゃんは確か15歳ぐらいだったと思うけれど、いまも全然変わっていない」 この言葉を受けて杉咲は、こう返した。 「連続ドラマはほとんどはじめてで、緊張していましたが、とてもやさしくしてくれました。さきほども、グッズのパーカをいただきました」 続いて、北口榛花、Number_i、堀米雄斗、村上隆が登壇した。海外で会ったことがあるというNumber_iの平野紫耀と、堀米雄斗の会話が弾んだ。 平野は言う。 「ファッションショーで会ったんですけど、堀米くんがやさしく平野を受け入れてくれた。それで、一緒にスケボーをやろうという話になったんです。まだ実現していなんですけど」 これに対して、堀米は「パリでもどこでもやりましょう、うちの母もファンなので」と反応する。ここで平野が、「じゃあ、お母さんも誘いましょう」と、会場を湧かせた。 なお、ブレイクスルー・ファッションデザイナー賞を受賞したAURALEE(オーラリー)デザイナーの岩井良太は、スケジュールの関係で記者会見を欠席、ガラディナーとアフターパーティに合流した。 また、ベスト・チーム賞のバレーボール男子日本代表の石川祐希キャプテンは、イタリア・セリエAがシーズン中のため欠席。代理として日本バレーボール協会の川合俊一会長が、ガラディナーとアフターパーティに出席した。 「GQ MEN OF THE YEAR」では、昨年から「FUTURE MOTY」という取り組みを行っている。これは近い将来に「GQ MEN OF THE YEAR」に登場することが期待される若き才能を集めて、ファッションシューティングを行うというもの。 今年は、浅井小次郎、荒谷翔太、小田凱人、奥平大兼、野村大貴の5名がスタイリッシュな衣装に身を包み、カメラの前に立った。 また、US版の『GQ』でスタートしたCo-Host(コーホスト)を、今年から日本でも採用している。Co-Hostとは“共同主催者”という意味で、『GQ JAPAN』とともにイベントを盛り上げてくれる人々を指す。村上隆、仲野太賀、ファーストサマーウイカ、北口榛花は、Co-Hostとしてイベントを盛り上げた。 授賞式の後のガラディナーでは、『GQ JAPAN』ヘッド・オブ・エディトリアルコンテントを務める石田潤が挨拶と乾杯を行う。乾杯のグラスに注がれたのは、「ドン・フリオ 1942」。アカデミー賞の授賞パーティやスパーボールのアフターパーティで世界のセレブリティに振る舞われるラグジュアリーテキーラだ。フルーティで少しスウィートな香りの「ドン・フリオ 1942」は、華やかな舞台にうってつけだった。 アフターパーティは、司会のハリー杉山が石田を舞台に招き、受賞者たちがステージに上った。続いて、村上隆とJP THE WAVYとのコラボユニット「MNNK Bro.」が登場。JP THE WAVYの音楽と、村上隆による圧巻のデザインの衣装とダンスの組み合わせは、まさにケミストリーという言葉がぴったりのステージ。初披露となる新曲によるパフォーマンスは、アートやヒップホップという垣根を超えた、新しい表現だった。 スポーツ、アート、エンターテインメント──。圧倒的な表現活動が、私たちに力を与えてくれることをあらためて感じた夜になった。
文・サトータケシ 写真・木村辰郎、加藤彰人 編集・岩田桂視(GQ)