JR東海支援のテキサス新幹線、親日アムトラック副社長が明かした「名称案」 車両は「日本メーカーが製造」、単独インタビューで明言 連載『鉄道なにコレ!?』(第65回)
▽最高時速330キロで片道1時間弱 テキサス新幹線計画は、地元民間企業のテキサス・セントラル・パートナーズ(TCP)が手がけている。予定では、テキサス州の主要都市ダラス-ヒューストン間(約385キロ)に専用軌道を敷設。N700Sをベースにした車両を運転し、最高時速330キロで走らせて片道1時間半弱で結ぶ。 往来が多い大都市間の大量輸送が可能となり、地球温暖化につながる二酸化炭素(CO2)排出量を旅客機やマイカーに比べて低減できるのが利点だ。中間駅を一つ設け、近くにあるテキサスA&M大学の学生や教職員らが使うことを想定している。 ▽「日本連合」を組成 この計画は東海道新幹線(東京―新大阪間)を運行するJR東海が2010年に発表した高速鉄道の海外事業展開の一環で、新幹線技術の輸出に向けて「日本連合」が組成された。日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化で中心的な役割を果たした「改革3人組」の1人で、当時JR東海会長だった葛西敬之氏(22年5月死去、本連載第31回参照)の「肝いりのプロジェクト」(JR東海関係者)と位置付けられ、日本メーカーの日立製作所と三菱重工業、NEC、東芝も支援を表明した。
日本の官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)も2015年11月、TCPへの約49億円の出資と最大3億2750万ドル(1ドル=160円で約524億円)相当の社債引き受けを決めた。 私が2015年12月に電話インタビューをしたTCP最高経営責任者(CEO、当時)のティム・キース氏は「2021年に営業運転を始めたい」と意欲を示していた。 ▽アムトラック支援で前進 しかし、実現には数々の難題が立ちはだかり、スケジュールは遅れを繰り返した。直近の開業目標は2026年に設定されたものの、実現は絶望的になっていた。 先行きの不透明感が増して一時は運輸業界関係者から「暗礁に乗り上げた」との観測も出ていた中で、前進を印象づけたのが2023年8月のアムトラックの支援表明だった。全米で都市間鉄道を運行するアメリカの代表的な鉄道会社だけに、JR東海は共同通信への声明で「アムトラックには米国での鉄道プロジェクト整備で豊富な経験・実績があり、参画は計画推進に大きなメリットが期待できる」と歓迎した。