「ロシアを愛するからこそ、勝たせてはならない」 毒殺未遂・投獄――自由を手にしたロシア反体制活動家が訴える“未来”
■刑務所で受賞した「ピューリッツァー賞」 賞金を…
カラムルザ氏は服役中の今年5月、刑務所から寄稿したコラムで、報道などの分野での優れた功績に対して与えられるピューリッツァー賞を受賞しました。身の危険を顧みずに独房から妻への手紙を通じて寄稿した、ロシアの民主的な未来を語る情熱的なコラムが評価されたのです。 「プーチン政権は私をシベリアに縛りつけ、私から声を奪おうとした。でも声を出し続けることは私にとって重要だったのです」 8月に解放されたことを受け、10月にはニューヨークでの授賞式に出席することができました。賞金1万5000ドルは、ロシアの政治犯の家族への支援に充てるため、寄付しました。 現在、祖国を離れて暮らす彼に「いつかロシアに帰るつもりがあるか?」と尋ねたところ、インタビューの中で最も強い言葉で返事が返ってきました、「もちろん、ロシアに帰ります」。 ロシアで2度の毒殺未遂を経験し、“生存確率5%”と宣告されたこともあるカラムルザ氏。妻と子供たちとの平穏な暮らしを犠牲にして現在でも活動を続ける、その強さの裏には何があるのでしょうか。 「ただ頑固なだけです。ロシア人が行動を起こさない限り、変化は訪れないでしょう。私は行動をしないわけにはいかないのです」 カラムルザ氏が今、日本を含む国際社会に求めることは、ウクライナへの支援継続、ロシア国民への働きかけ、そしてプーチン政権後を見据えたロシアの民主化移行の国際的ロードマップの整備。「ロシアを愛するからこそ、ロシアを戦争に勝たせてはならない」。ロシア国民によるロシアの民主化を信じて、カラムルザ氏は国際社会への訴えを続けます。