「ロシアを愛するからこそ、勝たせてはならない」 毒殺未遂・投獄――自由を手にしたロシア反体制活動家が訴える“未来”
■ウクライナとの戦闘…“北朝鮮軍の参戦”が意味することとは?
11月には北朝鮮軍がロシア西部に派遣され、ウクライナ軍との衝突が発生していると伝えられています。カラムルザ氏は、北朝鮮軍の参戦はロシアの悲しい現状を表していると話します。 「かつてロシアは国際社会から尊敬される民主国家でした。しかし25年間のプーチン体制をへて、今やロシアの同盟国はアフリカの独裁政権数カ国とイランの原理主義政権、そして北朝鮮の時代遅れの政権だけです」 そして、こうも分析しています。「第二次大戦後のヨーロッパで最大の軍事衝突となったウクライナとの開戦からほぼ3年が経過し、経済資源、軍事資源、人的資源など、あらゆる資源が枯渇しつつあります。プーチン大統領が軍事増強を北朝鮮の“友人”に依頼せざるを得なくなったという事実は、ロシアの資源枯渇の事実を物語っていると思います」
■ロシア国民の“本当の声”
2014年にはウクライナ情勢を受け、G8(=主要8か国)がロシアの参加を停止。プーチン大統領には国際刑事裁判所から「戦争犯罪」の疑いで逮捕状が出ています。また今年開催されたパリオリンピック・パラリンピックでは、ウクライナ侵攻を理由にロシアは国としての参加を認められませんでした。 ロシア国民はプーチン体制やウクライナ侵攻を支持しているのでしょうか。カラムルザ氏は厳しい表情で「抑圧的な独裁政権下で、それは無意味な質問です。意見を述べただけで投獄されるような国では、真の世論を判断することはできません」と、きっぱりと話します。 ロシアではウクライナ侵攻が本格化した直後の2022年3月、法改正により軍に関して意図的にウソの情報を拡散すれば犯罪とみなされるようになりました。 国連人権理事会は声明の中で、このような言論の自由を抑圧する法律の撤廃を求めています。 今年3月にはプーチン氏が大統領選挙で5回目の当選を果たしました。この選挙戦には、反戦を主張するナジェージュジン氏が立候補を目指しましたが(のちに立候補は認められず)、これに対するロシア国民の反応は想像を超えたものだった、とカラムルザ氏は回想します。 「当時、私が刑務所で受け取った、ある若い女性からの手紙を覚えています。彼女はこの反戦を訴える候補者の推薦状に署名するために長時間並んだことを説明し、『同志がこれほど大勢いるとは思わなかった』と結んでいました。こうした現実の光景は、ロシア国内に政権や戦争に反対している人々がどれほど多いかを示しています。これはとても重要なことです」 大統領選はプーチン氏が圧倒的な得票率でしたが、カラムルザ氏はロシア国民の行動に希望を持ち続けています。