首相指導力に厳しい目、「政治とカネ」8割「解決しない」…読売緊急世論調査
11~12日に実施した読売新聞社の緊急全国世論調査で、石破内閣の支持率は衆院選直後の前回調査(10月28~29日)の3割台から4割台に回復したが、少数与党という不安定な政治状況が続く。国民民主党が与党と政策ごとに協力する部分連合に一定の評価はあったものの、石破首相の指導力に対する有権者の見方は厳しい。
今後、首相が指導力を発揮できると「思う」と答えた人(全体31%)を支持政党別でみると、与党支持層は53%と半数を上回ったが、野党支持層は18%、無党派層は20%にとどまった。
首相のもとで、自民党派閥を巡る「政治とカネ」の問題は解決すると「思わない」とした人(全体81%)を支持政党別にみると、与党支持層で74%、野党支持層で84%、無党派層で85%に上った。首相は年内の政治資金規正法の再改正に意欲を示すが、有権者は冷ややかに見ているようだ。
与党過半数割れの中、首相は、衆院選で躍進した国民民主党との連携に活路を見いだそうとしている。国民民主党の政党支持率は10%(前回7%)と、野党第1党の立憲民主党の11%(同14%)に迫る勢いだ。国民民主党が与党と政策ごとに協力することに「賛成」とした人(全体66%)は、与党支持層で76%、野党支持層で64%、無党派層で60%だった。
国民民主党が主張する「103万円の壁」の見直しや、「トリガー条項」の凍結解除への「賛成」は約8割に上っている。しかし、これらの政策を進めるには、財源の確保などの課題を解決しなければならず、政府・与党と国民民主党の調整過程への世論の注目が集まりそうだ。
神奈川大学の大川千寿教授(政治過程論)は、「少数与党政権は慎重に物事を進めて合意形成を図るというメリットもあるが、統一性や整合性に課題が残る。政策決定にも時間がかかるため、石破首相は政権運営に苦労するだろう。国民民主党は、選挙で訴えたことを実現させるだけではなく、政策がどう機能し、どういう結果をもたらすのか『製造物責任』が問われることになる」と話している。