52年ぶり頂点狙い今日深夜準決勝。なぜイングランドは復活したか?
24歳のジョン・ストーンズ(188cm、72kg/マンチェスター・シティ)を中央にすえ、25歳のハリー・マグワイア(193cm、98kg/レスター・シティ)、28歳のカイル・ウォーカー(178cm、83kg/マンチェスター・シティ)が左右を固める3バックは高さと強さを兼備。スウェーデン代表との準々決勝でビッグセーブを連発した24歳の守護神、ジョーダン・ピックフォード(エバートン)が後方で強烈な存在感を放つ。 守備陣に対する信頼感が攻撃を活性化させる好循環を生み出し、チームがストロングポイントとしてきた、高さを生かしたセットプレーにおける集中力と決定力も増す。準々決勝までの5試合であげた11ゴールのうち実に8つを、PKを含めたセットプレーでマークしている。 堅守からセットプレーでゴールを奪う――。 試合を重ねるごとに明確になってきた勝ちパターンの原動力が、セットプレーから奪った5ゴールを含めた6ゴールで得点王争いのトップを走る24歳の若きキャプテン、FWハリー・ケイン(トッテナム・ホットスパー)である。 準決勝では日本時間12日未明に、首都モスクワのルジニキ・スタジアムでクロアチア代表と激突する。対戦成績はイングランドが4勝1分け2敗で勝ち越しているが、最後の対戦が2009年9月で、メンバーがほとんど変わっていることを考えれば参考にならない。 ともに中3日だが、決勝トーナメントに入って2試合連続で延長戦&PK戦を経験しているクロアチアのほうが、肉体的にも精神的にも消耗している。5試合で12枚ものイエローカードをもらった激しいプレースタイルを考えれば、イングランドがセットプレーを獲得する回数も増えるかもしれない。 クロアチアとしては、至宝ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)を起点にチャンスを作りたい。しかし、チーム全体としてコンディションに不安を残すようならば、スウェーデン代表との準々決勝でビッグセーブを連発したイングランドの新守護神、24歳のジョーダン・ピックフォード(エバートン)の牙城に風穴を開けるのは困難を伴うかもしれない。 イギリス国内では昨年のFIFA・U-20およびU-17の両W杯を制し、将来を有望視されている『イングランドDNA』世代が続々と台頭してくる次回カタール大会以降への期待度が高かった。 しかし、若手選手たちが躍動し、大舞台を勝ち抜くための方程式も確立され、ケインがスター選手への階段を昇り始めたいまでは状況が一変した。描かれていた青写真を前倒しにしての、実に52年ぶりとなるW杯制覇へ。サッカーの母国がにわかに熱狂しつつある。 (文責・藤江直人/スポーツライター)