東京メトロが10月上場!都営地下鉄や京急と合併したら「打倒JR東日本」も夢じゃない?
● もしも東京都が 「都営地下鉄と京急の合併」を決断したら? 二大財閥の銀行同士が合併してできた三井住友銀行ですが、もともと両行の規模には大きな格差がありました。規模では都市銀行のビッグ5の一角だった住友に対し、三井銀行は第二グループの規模に甘んじていました。 ところが三井銀行が太陽神戸銀行と合併したことで、住友銀行と規模が匹敵する状況が生まれ、三井住友銀行が誕生することになったわけです。 もし、東京都が都営地下鉄と私鉄との合併を先に決断したとしたらどうでしょう。 あくまで地下鉄2社の統合を前提に、たとえば時価総額3200億円の京浜急行と都営地下鉄を先に合併させるのです。すみません、ここもそうですがこの先も、鉄道ファンが妄想で考える未来ということで合併相手に浮上する会社の皆さんは怒らないで読んでいただきたいと思います。 「なぜ京急?」と思われるかもしれません。実はそこには別の布石があるのですが、まずはメトロと都営の両者が歩み寄れる対等規模の企業体が成立するというのが最初のステップです。 東京の地下鉄はこのステップを通じて統合されたとしましょう。京急路線を加えた1兆2000億円を超える時価総額の巨大鉄道会社が誕生したとして、その先にはどのような違う未来があるのでしょうか。次のステップを考えてみましょう。
● ステップ2 メガバンク型の巨大鉄道持ち株会社の誕生 さて、こうやって3社が合併し、3社の運賃体系を統合したとしたらどうなるでしょうか? それまで別々の運賃がとれたのに、統合して乗り継ぎ分が安くなるので新会社は損をするのでしょうか?実はそうとも言えません。 というのは新会社は都心部でJRからの乗り継ぎ需要を奪うことができるのです。それに加えて、実は京急が入っていることで羽田空港からのアクセス需要を東京メトロネットワークに取り込むことが可能になります。 これまで京急品川からJRに流れていた旅客の流れをそのまま都営浅草線を経由して東京メトロの銀座線、日比谷線、東西線に流し込みます。 要するに合併することで都心部でのネットワーク経済性を高めることが、戦略としての着眼点その1。そして国内の移動の要衝であり東京メトロが押さえてこなかった羽田と品川を抑えるというのが戦略の着眼点その2だというわけです。これが第三のパートナーとして京急を取り込む布石の意味でした。 しかし、京急をパートナーに取り込むことには実はさらにもうひとつ別の布石としての意味があります。それはひとつ前例ができることによって、他の私鉄もこのグループに加わることを想像するようになることです。新たな成長機会の窓が開くのです。 この時点で3社連合の時価総額を「1.2兆円を超える」と想定してみます。それに匹敵する存在としては東急電鉄の1.2兆円、西武鉄道の1兆円が対等合併の視野に入ってきます。 ただしこれらの企業の歴史を考えると、東急にしても西武にしても合併によって企業名が消滅するという形を呑むことは難しいと思われます。そこで考えられるのが、メガバンクと同じような持ち株会社方式での規模拡大です。 つまり同じ持ち株会社の傘の下に入ったとしても、それぞれの企業はそのままで存続していく。異なる会社でありながら戦略としては連携し、かつ時価総額規模を共有財産とすることでより優位に事業規模を拡大していくことができるようになるという考え方です。 この考えであれば今はそれぞれ別々の会社でも併せて時価総額1.1兆円の小田急・京王連合も、同様に1.3兆円規模になる東武・京成連合も規模的には均衡します。かつてメガバンクがつぎつぎと再編したように、これまで考えてこなかったような再編の組み合わせが成立するようになるのです。 運賃という観点では最初の合併の際には統合を提案しましたが、それはあくまで羽田からのアクセスでJRを打倒することが狙いでした。それ以降の合併では運賃については首都圏沿線の私鉄各社とは別会社ということで運賃統合はせず、あくまで乗り継ぎ割引運賃ぐらいのグループ施策にしたほうが利益は最大化できそうです。 この私鉄連合が生む新たな強みは、時価総額を背景に潤沢な不動産投資の資金を得られるという点です。これまでそれぞれの体力では少しずつ段階を踏んだ形でしか取り組めなかった渋谷駅、新宿駅、池袋駅の再開発、そして浅草、日暮里、上野、蒲田などのエリア開発にも持ち株全体で同時並行で乗り出すことができるようになります。 首都圏のすべての私鉄の統合は想定しないとしても、ここで3兆円規模の鉄道持ち株会社集団ができれば、それはメガ鉄道会社の出現となり、首都圏においてはJR東日本に対峙する巨大勢力となることは間違いないでしょう。