東京メトロが10月上場!都営地下鉄や京急と合併したら「打倒JR東日本」も夢じゃない?
● 仮のゴール: JR東日本に匹敵するライバル会社を目指す 首都圏の私鉄の競争地図は戦後の長期にわたりある意味で停滞しています。 上場企業で東京都内を起点とする7つの主要私鉄がそれぞれ5000億円から1兆円程度の時価総額で群雄割拠し、今回そこに東京メトロが8社めの上場私鉄として加わります。 一方で、圧倒的なガリバーとなっているのが時価総額約3.3兆円のJR東日本。ドル箱の山手線と、そこから放射状に延びる首都圏の在来線を擁します。 さらに東北、上越、北陸の3新幹線とそれに接続する北海道、秋田、山形の各新幹線は、広域からの旅客を首都圏に流入させる一方で、首都圏の旅行客を地方都市へと送り込みます。 しかもJR東日本は旧国鉄時代からの不動産資産にも恵まれ、不動産、商業、ホテルなど関連事業においても大きな成長を遂げている。まさに首都圏の鉄道事業の巨人です。 もし東京メトロがこのJR東日本一強の状況にくさびを打ち込んで、首都圏における鉄道会社のツートップを目指すように海外の株主から要求され、それに応えるとしたら、どのような戦略が成立するでしょうか? それを3つのステップに分けて考えてみたいと思います。
● ステップ1 都営地下鉄との合併 そもそも東京メトロが上場することには、経営上二つの意味があります。 ひとつは独立した企業体として戦略を描くことができるようになるという意味。もうひとつは財務戦略を駆使した成長戦略、わかりやすく言えばM&Aによる成長戦略がとれるようになるという意味です。 先ほど指摘した東京メトロの弱点は「企業として成長余地が小さい」というものでした。ですからこの弱点を消すために、海外の投資家の発想ではM&Aを戦略の主軸におくべきだと要求するでしょう。 では、どの企業体を狙うのか? 実は早い段階で実現しておきたいのは都営地下鉄との合併です。東京の都心部では過去の経緯から東京メトロと都営地下鉄というふたつの運営母体が路線を分離した形で地下鉄事業を運営してきました。 東京都民の利便性という観点ではこの状態はあまりよくありません。都内を移動する際の乗り換えで、たまたまメトロから都営地下鉄ないしはその逆のルートだというだけの理由で料金がかなりの割高になってしまいます。 東京メトロの他社にはない最大の優位性が都心部のネットワーク経済性ですが、都営地下鉄と分割されていることでその優位性が完全なものにはなっていません。むしろ都営地下鉄との接続性という意味でJR東日本の山手線・中央線と東京メトロは強みを分かち合ってしまっているのです。ですから両者が一緒になれば地下鉄のJRに対する優位性は高まります。 そもそも東京メトロ上場前では両社とも東京都が大株主だった関係で、早めにこの2社を合併させておきたいという議論はありました。 漏れ伝え聞くところによれば対等合併を求める都営地下鉄と、事業規模的にそれはありえないだろうという東京メトロの間で合意ができなかった様子です。 この難題をどう解決すればいいのでしょうか?メガバンクの三井住友方式というやり方を考えてみます。