愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰「注目を集める“新NISA”と数字で確認する“昨年までの経済情勢と今後”」を解説
◆新NISAを始める前に考えておくべき「心構え」
やしろ:新NISAは、宗さま的にはどのような投資方法が一番良いとお考えでしょうか。 宗正:新NISA制度には、年間の投資上限額120万円を積み立てていく「つみたて投資枠」と、年間投資上限額240万円の「投資成長枠」があります。投資初心者の方には、長期分散積立投資を活かした「つみたて投資枠」の活用をオススメしたいと思います。そして投資リテラシーが高くて、より自由な投資をしたいという方には「成長投資枠」の活用が向いていると思います。 しかしそれ以前に、もっと大事なことがあるんですね。それは「何のための投資なのか」「目標額はいくらなのか」「そのために許される投資の期間はどれくらいなのか」の3つを考えること。 例えば「5年後、世界旅行をするために200万円を貯めたい」というのは、3つの要素が全部含まれています。この目標を無視した投資というのは、知らず知らずのうちに投資リスクをついつい大きくしがちなんです。要は「増えればいい、儲かればいい」という考え方。それではダメです。投資にはあくまでも、今申し上げた3つの要素、これをまず決めてください。 やしろ:もう一度、3つの言葉をいただいてもよろしいでしょうか。 宗正:「何のための投資なのか」「そのためにいくら必要なのか」「許される投資の期間はどれくらいなのか」。この3つが決まればすべて決まります。 やしろ:理由・額・期間。この3つを明確にした上で、みなさん投資にチャレンジしましょうということですね。
◆気温と消費は密接な関係にある?
やしろ:そしてここからは、昨年の経済情勢を振り返りたいです。今後を考えるということで、どのような数字に注目すべきでしょうか。 宗正:毎年、2月の上旬辺りで昨年1年間のさまざまな経済指標や統計がまとまります。昨年を振り返って、今後を考えるという意味ではあえて2つ挙げたいと思います。 まず1つが総務省の統計局が発表している家計調査。国内の家計支出を通じて、景気に最も影響を与える個人消費の動きを把握します。もう1つが、財務省が発表している国際収支統計。これは一定期間で、国や地域の対外的な経済取引をまとめたものです。 家計調査というのは国内の調査で、国内需要・内需を表しています。そして国際収支統計は海外需要ですね。対海外ということで、外需を把握するために有効なんです。 やしろ:まず1つ目は2023年の家計調査。こちらの注目すべきポイントは、どのような感じだったのでしょうか。 宗正:他の世帯が1ヵ月にどれくらいお金を使っているのかって気になりませんか? やしろ:はい、気になります。 宗正:2人以上の1世帯で、昨年の消費支出月額平均は29万3,997円。これは物価変動の影響を除く実質ベースで、その前の年と比べても2.6パーセント減っているんです。これは、実に3年ぶりの下落です。物価高が理由で、多くの人が節約志向に向かっているということです。 何を節約しているのかというと、個人の消費額で全体のおよそ3割を食費が占めていますが、つまり食費を減らしているんですね。ただ新型コロナも5類に移行して、「外食の機会は増えた」という方も多いと思います。何を減らしているかというと、食材を買ってきて、家で料理して食べる「内食」の食費を節約しているんです。 それから昨年の12月は、単月で見ても物価変動を除く実質ベースで前年度の消費支出を2.5パーセント下回っており、10ヵ月連続のマイナスなんですよ。 やしろ:物価高になってきて、コロナ禍も明けて、旅行に行ったり外食をしたりとか、いろいろな意味で支出も増えていって上手く回っていくかと思いきや、支出は減っているんですね。 宗正:そうなんですよ。理由としては、3つ挙げられます。1つが物価高。2つ目が新型コロナの5類移行。3つ目が気温の上昇ですね。昨年の夏は暑かったですよね。 やしろ:ちょっと外に出るのも怖いくらいの暑さでした。 宗正:年末年始も暖かかったですよね。そうなると夏は外に出かけないので、買い物を控える人が増えます。そして年末年始は冬物が売れない。物価高の部分は、今後は賃金が今年上がるのかどうかということに注目です。 気温の上昇という部分についてですが、個人消費と天候ってすごく密接に関わっているんですよ。今年はどうなるのか、そこに注目ですね。