トヨタにホンダ、日産…日本企業は「中国の素早さ」についていけるか?
通信大手のファーウェイは、2024年2月にナビゲーション運転支援機能「NCA(Navigation Cruise Assist)」を導入し、高精度な地図に依存しない運転支援を実現した。複数のセンサーを用いた障害物検知システムを通じ、道路や信号などの識別や車両の制御を行い、中国国内すべての都市で同システムの利用を可能としたのだ。 小鵬汽車(シャオペン)やNIO(ニオ)などの新興メーカーをはじめ、すでに20以上の自動車ブランドが、消費者が高い関心をよせるNOAサービスを導入している。
運転支援機能そのものも、高速道路での車間距離保持や車線変更などから、一般道路で自律走行を可能にするシステムへと進化している。 中国ではパワートレインや航続距離だけではく、運転支援機能もクルマ選びの重要な要素になっており、こうしたシステムの充実度や使い勝手の良さは重要だ。 ■日系メーカーに浮かび上がる3つの課題 日系各社も、先進的な自動運転機能でEVの差別化を図ろうとしている。 トヨタと日産は、自動運転用ソフトウェアを手掛ける中国新興のMomenta(モメンタ)と共同開発したシステムを採用し、マツダは、合弁相手の長安汽車(チャンアン)のプラットフォームと技術を活用。ホンダは自社開発するシステムに、ファーウェイのディスプレイやiFLYTEK(アイフライテック)の音声技術を導入する。
中国メーカーにやや後れを取った日系メーカーだが、これから登場するクルマは大いに期待ができそうだ。 一方、日系メーカーには課題も浮かび上がる。それは大きく3つあり、ひとつ目は「新車開発のスピードアップ」だ。 これまでのエンジン車では、開発期間「3年以上」というのが一般的だった。しかし、中国新興勢のSDVは、ソフトウェアや制御ユニットのアジャイル開発を行い、従来の業界の常識を一変させている。 ハードウェアとソフトウェアを分けて開発できるプラットフォームに力を入れ、開発期間の短縮を実現した。実際、新車開発からラインオフまでの期間を調べてみると、ホンダ「イエP7」が約40カ月かかったのに対し、新興勢は15~20カ月、BYDは16~22カ月と短い。