トヨタにホンダ、日産…日本企業は「中国の素早さ」についていけるか?
電動化が進む中国の新車市場では、日系メーカー各社が揃って知能化技術を備える電気自動車(EV)の開発や発表を進めている。 【写真】カッコいいけど日本で変えない中国市場専用の日系メーカー車 たとえば、2024年10月に発売したマツダ「EZ-6」、11月に発表されたばかりの東風日産の新型「N7」、さらに2025年以降に発表されるトヨタ「bZ」シリーズやホンダ「烨(イエ)」シリーズのニューモデルなどがあり、いずれも「NOA(ナビゲート・オン・オートパイロット)」を搭載する先進運転支援技術、マルチメディア機能を音声でコントロールできるスマートコックピットが、搭載される。
■BYDの「PHEV価格破壊」が契機に 日系メーカーは長年、燃費とコストパフォーマンスのいいエンジン車を中心に中国ビジネスを行ってきた。しかし、中国ではBEVシフトが急速に進み、日系メーカー各社は苦戦を強いられている。徐々にBEVラインナップを増やしてはいるが、特にコロナ禍以降、販売は振るわない。 そこで日系メーカー各社は、中国企業との協業に活路を見出し、中国で高まる知能化ニーズを取り込もうとする姿勢を示した。
EV市場はグローバルで減速しているように見えるが、中国では依然、高い伸び率を見せている。 EVとプラグインハイブリッド(PHEV)を中心とする新エネルギー車(NEV)の出荷台数は、コロナ禍前(2019年)の120万台から、2024年は約1250万台にまで伸びており、新車市場に占めるNEVの割合は、40%に達すると見込まれる。 そのうち、EVの伸び率は前年比およそ1割と鈍化傾向にある中、PHEVは8割増と大きく成長した。これまでエンジン車を購入していた消費者が、EVより走行距離とコストのバランスの取れたPHEVに流れているのだ。
特に、BYDが発売した価格破壊ともいえる安価なPHEVの登場をきっかけとして、PHEVの値下げ競争は、エンジン車メーカーの競争力を一気に脅かした。 【写真】日産、トヨタ、マツダの中国専用EVを詳しく見る(40枚) 一方、EV化とあいまって加速しているSDV(Software Defined Vehicle=ソフトウェア定義車両)が、新たな乗車体験を生み出し、クルマの知能化とともに市場の風向きを変えつつある。