顧客宅に放火、2600万円奪った野村證券元社員の「バカ過ぎる」手口 「ばくちのような投資で借金が数千万円に」
職業倫理もなにもあったものではない。証券会社の営業マンが、業務を通じて資産状況を把握していた顧客の大金を強奪した。 【写真を見る】「爽やかでとても強盗をするようには…」 法政大学サッカー部時代の梶原容疑者
「10月30日、広島県警は強盗殺人未遂と現住建造物等放火の疑いで、野村證券の元社員を逮捕しました」 と、県警担当記者。元社員は神奈川県葉山町の無職、梶原優星(ゆうせい)容疑者(29)だ。 「今年7月28日、広島市西区の80代夫婦宅で、夫婦に薬物を飲ませて意識をもうろうとさせたうえで放火。ボストンバッグに入った現金約2600万円をバッグごと奪ったとされます。夫婦は命からがら逃げ出し、無事でした」 当日は日曜日だった。 「野村證券の営業職だった梶原は、それまでも何度か、担当する夫婦宅を訪れていました。当日も夫婦宅で食事の約束をして訪問。午後5時半から8時前までのあいだに、梶原は自らに処方された睡眠作用のある薬物を酒に入れて夫婦に飲ませ、火をつけたとみられます。のちに、夫婦の体内から薬物の成分が検出されました」 居宅は壁や床など約15平方メートルが焼けた。夫婦は近隣住民に“またここに住むのは難しい”と話している。 事件は多額の借金を抱えた梶原容疑者による計画的な犯行と報じられてはいるが、実際はどうだったのか。
あまりにずさんな手口
先の記者によれば、被害に遭った夫は地場の食品メーカーの創業者。 「県内有数の企業に育て上げ、現在は経営を親族に任せ退いています。そのかたわら資産運用などで証券会社と付き合い、現金での取引を好んでいたとのこと。こうした状況を知って犯行に及んだ梶原は、警察の調べに対しては放火を否認し、“金は盗んだが2600万円という金額が違う”と話しています」 そんな梶原容疑者は神奈川県横浜市出身で、 「法政二高から法政大学へと進み、野村證券に入って広島に配属されました。大学では体育会のサッカー部で、トップチームのレギュラーにはなれなかったものの、守備的MFとして努力し続けた。そんな経歴から、野村證券では営業マンとして期待されていたようです。ですが昨今の闇バイト強盗事件を思わせる手口で顧客を標的にするなんて……。期待外れどころか、論外でしょう」 手口はずさんとしか言いようがない、と捜査関係者が明かす。 「火事の前後に夫婦宅を訪れていたのが容疑者しかいなかったことで、事件への関与がすぐに浮上しました。8月上旬には、広島市内にあった容疑者宅を家宅捜索。強奪金の一部や睡眠作用のある薬物などを押収し、証拠を積み上げた結果、逮捕に至りました」