甘くないケーキ商戦 クリスマス、原材料費高騰の波
●イチゴ減らし価格維持 値上げの分高級路線に 北陸のホテルや洋菓子店で、クリスマスケーキ商戦が早くもスタートした。今年は原材料費高騰の影響でケーキの価格が上昇傾向で、特に必需品のイチゴは洋菓子店関係者が「びっくりするくらい高い」と漏らすほど。各社はそうしたマイナスイメージを少しでも抑えて消費者の手に取ってもらおうと、使用するイチゴの量を減らして価格を維持したり、値上げの分だけ高級路線を前面に打ち出したりと四苦八苦しながら、年末に向けてピークを迎える「甘くない商戦」に臨んでいる。 【写真】ホテル日航金沢が提供する「プレミアムガトーフレーズ」(同ホテル提供) ANAクラウンプラザホテル金沢は10月1日に予約を開始。今年は毎年販売しているイチゴのケーキ「サンタクロース」を「スペシャルサンタクロース」として、昨年から200円増の7千円で販売している。使用するイチゴの量を少なくした「ルージュサンタクロース」を新たに用意し、価格を6500円に設定することで、従来のケーキを求める層と手頃な価格で手に入れたい人の双方に対応した。 担当者は「小麦、イチゴ、乳製品と全て高騰しているが、楽しみにしているお客さまの期待に応えたい」と意気込んだ。11月末までの予約で1割引きとなることもあり、早めの注文を呼び掛けた。 農林水産省によると、東京都中央卸売市場では、17日時点でイチゴ1キロ当たりの価格が3984円と、平年(過去5年の平均値、2703円)のおよそ1・5倍の高値で取引されている。 ぶどうの木(金沢市)は、イチゴとブドウのケーキを別に販売していたが、今年は一つのケーキに一緒に使い、それぞれの個数を抑える一方、見た目の華やかさは失わないようにした。 ホテル日航金沢はイチゴがのった定番の「ガトーフレーズ」を昨年より800円高い7500円とした。その中で、使用するイチゴの量を増やした「プレミアムガトーフレーズ」(1万2千円)を今年から発売。値段が上がる分、ホテルならではの高級感を演出し、需要喚起を図る。 オードブルやチキンとのセット販売も今年から始めており、ケーキの売れ行きは前年同期と比べて好調だという。担当者は「クリスマスケーキは競合が激しく値上げは怖いが、品質は落とすことなく販売したい」と力を込めた。 金沢東急ホテルでも、福岡県産のあまおうと白イチゴの2種類をふんだんに利用した「ダブルベリーホワイト」(1万円)を作り、高い品質を求める客層を取り込む。 ●限定ショコラ追加 定番のショートケーキと今年限定でショコラフランボワーズの2種類で商戦に入ったのはANAクラウンプラザホテル富山(富山市)。料金や食材の量は据え置きとし、担当者は「物価高の中でもなるべく品質を変えずに同じサービスを提供したい」とした。