大阪・箕面「もみじの天ぷら」ってどうやって作ってるの?
箕面「もみじの天ぷら」手間のかかる製造工程を探ってみた 執筆・撮影:北代靖典 企画・構成:柳曽文隆 音楽・ナレーター:GISO THEPAGE大阪
「もみじの天ぷら」と言えば、大阪・箕面で有名なお土産だ。おそらく関西人ならだれもが知っている。箕面の滝や紅葉見物の折に、歩きながらパリポリと食べた経験のある人も多いだろう。このもみじの天ぷら、実は木から育てているのをご存じ? しかも、もみじ葉は1年以上も塩漬けにしているという。そこで現地に足を運び、老舗店の代表者に話を伺うと、「木から栽培していると説明すると、ほとんどの方がびっくりされますね」ということだった。果たしてその製造工程とは? 【拡大写真と映像】街で見かける白くふわふわ飛ぶ「雪虫」って何?SNSでも話題
使用している葉は自社山で木から育てている
阪急箕面駅を降りて山側へ少し歩くと、土産店などがずらりと並んでいる。そんな1軒、創業1940年の「久國紅仙堂」の代表で製造責任者の久國節子さん(73)は、こう話す。 「使用している葉は自社山で木から育てています。まさか木から栽培しているとは思わないらしく、説明するとほとんどの方がビックリされますね。製造工程は関西人でも知らない人が多いようです」
もみじの天ぷらの発祥は?
もみじの天ぷらの発祥は今からおよそ1300年前。箕面山で修行していた役の行者が滝に映えたもみじの美しさを称賛し、灯明の油(菜種油)で天ぷらを作って修験道場を訪れる旅人に振舞ったのが始まりだとされている。 「昔は先代が池田市の植木屋さんからもみじを持ってきてもらってました。ただ、そこは後継者がいないということで、木から育てた方がいいとアドバイスを受け、30年以上前からうちは木から栽培しています。1か所だと全滅する恐れもあるから、今年の春にまた別のところに植樹しました」という。 もみじの品種は多く、同店の原材料のもみじ葉は「一行寺もみじ」という木で、形が整っていて葉脈の柔らかい品種になっている。自社山でオーガニック栽培しており、「もみじは太陽が当たり過ぎてはダメで、赤くなってはいけない。黄色でないといけないんです。だから天候にも左右される。やっかいな仕事なんですよ」(節子さん)とか。 赤く染まった葉はカタくて油で揚げると真っ黒になるという。柔らかく、くせのない、歯ざわりの良い食感の葉を育てるために、研究を重ね、無農薬栽培で育てた紅葉の葉を使う。そして厳選された小麦粉と砂糖とゴマを使用し、かりんとうのような香ばしさが自慢の伝統銘菓に仕上げているのだ。