EVに関心があっても導入に踏み切れないタクシー事業者多数! 広島でbz4Xを導入した事業者の陰に「電脳交通」の存在あり
よしじまタクシーグループが考えるEV導入のメリットとは?
導入のきっかけは、電脳交通からのEVタクシーに関するアンケートFAXだったと語るのは、よしじまタクシーグループ取締役の木本慎吾氏。当初は「EV車をタクシーにするのは無理だ」「充電の運用が不安」「導入コストが高い」といった否定的なイメージを持っていたそうだ。しかし、電脳交通や三菱オートリースとの出会い、試乗会の参加、すでにEVタクシーを導入しているタクシー事業者との交流を通じて、導入のハードルが下がったという。 導入の最大の目的は、地球環境への配慮だ。また、ガソリン価格の高騰に加え、LPガスも物価高騰の影響で値上がりしている。全国的にガススタンドの廃業が進んでおり、ガススタンドがないエリアも出てきた状況を踏まえると、これらの問題解決にはEVタクシーの導入が必要だと感じたという。同時に今回の導入が経費削減にも繋がることを、同社は期待している。 また、よしじまタクシーグループ代表取締役の木本弘三氏は、環境面に加え広島県の観光立県を目指すなかでEVの導入を約3年前から進めていたと語る。今回は3台のEVタクシー導入ではあるが、これが世界遺産の宮島・厳島神社や風光明媚な瀬戸内を抱える広島県の自然環境保護につながるきっかけになれば本望だろう。 導入されたEV3台はすべてトヨタのbz4Xだ。よしじまタクシーグループは長年トヨタ車を愛用しており、「トヨタだから」という信頼感が選定理由のひとつになっているという。さらに、SUVタイプで広い車内空間と快適性を備えており、広島を訪れるインバウンド観光客のニーズにも対応できるのも理由だ。 タクシー業界は慢性的な人手不足に直面しており、この問題は経営の危機に直結する。今回のEVタクシーの導入を通じて、業界が前向きな方向に進むとともに、「このクルマに乗ってみたい」「このクルマを運転してみたい」と思う人が増えることを期待しているそうだ。とくに若い世代がタクシー業界に興味を持つきっかけになればと同社は願っている。 コロナ禍の厳しい経営状況を経て、今度はオーバーツーリズムが叫ばれるほどのインバウンド需要で事業の急速な縮小拡大に迫られたタクシー業界。さらには折からの物価高騰によるランニングコストの増大。EVはこうした変化に対しての救世主となり得るのか。今後の動向に注目したい。
TET 編集部