CO2排出75%削減、エコなプリント基板で世界を置き換えるエレファンテック
時間がかかっても大きな挑戦をしようと覚悟ができた
清水:我々は今、世の中のあらゆる産業の電子回路を当社の製法に置き換えることを目指しています。創業当初は、この技術で置き換えられるのは特殊な用途向けだけだと思っていて、今のようなビジョンは描けていませんでした。技術の確立やパートナーとの連携が進んできたこともありますが、いつも植波さんや伊藤(毅・BNV代表取締役)さんが、「リスクをとって社会に大きなインパクトを与えることをやろうよ」と背中を押してくれたことで、私自身も起業家として成長し、たとえ時間がかかっても大きな挑戦をしようと覚悟ができたのです。 植波:当初、想定していた将来像は売り上げ数百億円くらいでしたが、今のビジョンだと兆円級の会社に成長するポテンシャルがあります。目指す姿が何十倍も大きくなっていて、すごくワクワクしています。 清水:絵空事ではなく、23年には、ラップトップメーカーの台湾LITE-ON Technologyと提携して、今後は同社製品のキーボードに当社のFPCが採用される方針など、具体的な契約もできてきました。供給体制を整えて、25年からグローバルに流通させていきます。 構造が比較的シンプルな片面フレキシブル基板に加えて、両面の基板やマザーボードに搭載できるものなど、そのほかの種類の基礎開発も進んでいて、すべての産業で置き換えていくための技術的な体制がいよいよ整ってきました。次は、資金や供給体制をもう一段スケールアップして、実装していくフェーズです。我々の推計では、7~8年ですべての産業を置き換えられると見ています。 植波:事業が進んでステークホルダーが増えていくと、いろいろなしがらみも生じてくると思います。これからも、リスクをとってより大きなビジョンを成し遂げようという一貫した目線で、清水さんが今の勢いのまま走り抜けていくことを側面からサポートしていけたらと思います。 うえは・けんご◎Beyond Next Ventures(BNV)代表取締役。2003年、大手ベンチャーキャピタルに入社。15年、BNVの創業に取締役として参画。23年10月より現職。主な投資先はサスメド、QDレーザ、エニグモなど。 しみず・しんや◎エレファンテック代表取締役社長。東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてコンサルティングに従事した後、2014年にAgIC(現 エレファンテック)創業。
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