土星初のトロヤ群小惑星「2019 UO14」を発見 水星以外の全ての惑星でトロヤ群小惑星を発見
史上初の “トロヤ群彗星” かどうかは不明
先述の通り、2019 UO14の起源はケンタウルス族である可能性が高く、観測データから推定された2019 UO14の色もケンタウルス族であることを示しています。ところで、ケンタウルス族はしばしば弱いながらも彗星活動が見られることで知られています。現在の定義では、小惑星として発見された天体に彗星活動が観測されれば、小惑星かつ彗星として扱われます。従って2019 UO14に彗星活動が見つかれば、観測史上初の “トロヤ群彗星” とでも呼ぶべき存在となるはずです(※2)。 ※2…P/2019 LD2(ATLAS彗星)は発見当初、その軌道が木星のL4トロヤ群小惑星と似ていることから、(木星に限らず全ての惑星の)トロヤ群に属する初の彗星であるとの主張がなされましたが、現在では偶然L4の近くにあるだけで、トロヤ群ではない無関係の天体であるとして撤回されています。 許氏らは、今回の観測結果からは、2019 UO14の彗星活動の兆候を得ることはできませんでした。しかし観測を続ければ、2019 UO14の彗星活動は観測可能であるとも考えています。もし、十分に観測を行ってもなお、2019 UO14に彗星活動が見られなかった場合、それは揮発成分が枯渇していることを示唆します。この場合、2019 UO14はおそらく木星族のように、木星軌道の内側を短期間で周回する彗星であったかもしれないことを示しています。 Source Man-To Hui, et al. “2019 UO14: A Transient Trojan of Saturn”. (arXiv) Bob Yirka. “Saturn Trojan asteroid confirmed”. (Phys.org) S. A. Tabachnik & N. W. Evans. “Asteroids in the inner Solar system ― I. Existence”. (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society) Mike Alexandersen, et al. “A Uranian Trojan and the Frequency of Temporary Giant-Planet Co-Orbitals”. (Science)
彩恵りり / sorae編集部