【マイルCS】トラックバイアスから分かる「買ってはいけない馬」「買うべき馬」/富士S編
[GⅠマイルチャンピオンシップ=2024年11月17日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外1600メートル] 内が伸びる芝、外差しが決まる芝…。馬場はまるで生き物かのように、日々変化する。そこから生じる馬場の傾向が「トラックバイアス」。朝から芝に足を踏み入れてコンディションを確かめるジョッキー、調教師…。彼らはそれが競馬の勝敗に影響を与えることを分かっている。当然、予想のファクターとしても軽視すべきものではない。当欄はトラックバイアスから〝レースの真実〟を解き明かし、買うべき馬、買うべきではない馬をあぶり出すのがテーマだ。
【富士Sのトラックバイアス】
秋の東京開催3週目となったこの日(10月19日・土曜)。芝は開幕日から続くAコース施行だった。前週、府中牝馬Sが行われた14日(月)において、同レース前にあった芝競走の1~3着馬が内ラチから何頭目を走ったかの平均値は以下の通り。 1着馬=3・4頭目 2着馬=4・4頭目 3着馬=6・4頭目 以前にも述べたが、内ラチを突いて勝った馬が2頭出るなど、全体的に内が伸びる馬場だった。で、翌週の富士Sの平均値が以下のものだ。 1着馬=5頭目2着馬=3・8頭目3着馬=5頭目 内伸びの馬場がやや外めにシフトしているのが分かる。象徴的だったのは9RのアイビーS。逃げたシルバーレインがラチ沿いを避けて内から5頭目まで外に出しており、その他の馬は、さらに外に出す馬、または内を突いて差すといういろんな〝ムーブ〟が展開された。その他のレースを見ても、内の3頭目を通って勝つ馬もいれば、外め7頭目を回した馬も勝つという状況。つまりトラックバイアスがほとんどないフラットな芝だった。実際、富士S後、ジョッキーからトラックバイアスに関する負け談話などは出ていない。
【買うべき馬】ジュンブロッサム
トラックバイアスがない芝なら普通に先着した馬をそのまま評価すればいいことではあるのだが、さらに補強できるのが富士Sのラップ構成。前3→4ハロンが34秒2→46秒1で、後4→3ハロンが46秒0→34秒0という見事なまでの平均ラップ。実力が最も反映されやすいとされるミドルペースで運んでおり、かつトラックバイアスもなかったとあれば、このレースの着順、着差はかなり〝真実〟に近いということになる。つまり、マイルの強豪ソウルラッシュに1馬身差をつけて勝ったジュンブロッサムの力は本物ということだ。
【買ってはいけない馬】セリフォス
このレースにおいて勝ったジュンブロッサムと4着セリフォスはほぼ同じ位置を走っていたが、外枠だった分、ずっとジュンブロッサムのほうが1頭分外を回っていた。で、直線追いだしたのはジュンのほうが先。それでいて、セリフォスは直線半ばでジュンの外に出して追いだしてから、ジュンとの差が詰まるどころか、差をさらに開けられていた。道中ひっかかったからという理由でこの完敗の走りを帳消しにするのは危険だ。紛れのないペース&紛れのない芝コンディションでの0秒4差は決定的。折り合い面が解消する確証もなく、ジュンブロッサムを逆転する可能性は極めて低いとみる。
東スポ競馬編集部