ICC赤根所長、米ロの政治的圧力に危機感あらわ プーチン氏やネタニヤフ氏への逮捕状巡り
国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長は2日、締約国の年次会議で演説し、ロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相へ逮捕状を巡って、直接の名指しは避けながらも米ロからの強い圧力にさらされていると訴えた。そのうえでこうした措置が「裁判所の存在そのものを危うくしている」と危機感をあらわにした。 ロシアは、ICCがプーチン大統領への逮捕状を発行したことを受けて、赤根氏やカーン主任検察官らを指名手配した。 またイスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状を巡って、米下院は6月、ICC職員に制裁を科す法案を可決した。米国はICC加盟国ではないが、外交的・政治的に圧力をかけ、職員を対象とした金融制裁を科すことができる。 ICCは、加盟国が自ら訴追する意思や能力がない場合に、戦争犯罪、人道に対する罪、大量虐殺、侵略犯罪を訴追するために2002年に設立された。 赤根所長の主な発言は以下の通り。 「ICCは、強制措置や脅迫、圧力、そして妨害行為によって、その正当性や司法を執行し国際法や基本的権利の実現する能力を、弱体化させようとする攻撃にさらされてきた。法の枠組みと国際法に従って、司法上の任務を忠実かつ熱心に遂行したというだけの理由で、選出された複数の職員が深刻な脅迫を受け、国連安保理の常任理事国の一員から逮捕状を発布されている。(中略)別の安保理常任理事国からは、ICCがあたかもテロ組織であるかのように厳しい経済制裁の脅迫を受けている。これらの措置は、あらゆる状況や事案におけるICCの活動を急速に損なわせ、その存在自体を危うくするだろう」