<サッカー>U-22代表はリオ五輪最終予選を勝ち抜けるか?
ピッチコンディションは日本と比べ、劣悪だ。ふわふわした芝で、ボールはまったく走らない。U-22イエメン戦は、サウジアラビアとのグループリーグ第3戦で使用されるスハイム・ビン・ハマド・スタジアムで開催されたが、案の定、ボールが走らずに苦戦した。 「ねちっこい芝に足を取られていた選手が何人かいた。選手選考はこういう環境に合う、合わないというのも考慮しないといけない。最終予選は間違いなくこういうゲームになる」と手倉森誠監督は語ったが、もう少し早く経験できていれば、メンバーのセレクトも、チーム作りの進め方も、もっと幅を出せたかもしれない。 04年のアテネ五輪の代表チームは、中東決戦を見据え、カタール国際大会やエジプト国際大会に参加していた。また、テストマッチの対戦相手もカタール代表、ロシア代表、シンガポール代表というように、同世代ではなく、A代表の胸を借りて強化を進めた。そうした準備と比べるとどうしても見劣りしてしまい、それが不安要素となっている。 もっとも、過去の五輪予選を振り返れば、2000年のシドニー五輪予選こそ全勝し、最終戦を待たずに出場権を獲得したが、04年のアテネ五輪も、08年の北京五輪も、12年のロンドン五輪も余力を残して出場権を勝ち取れたわけではない。いずれも薄氷を踏むような思いで出場権を掴みとり、そのシビアな経験がチームの、選手の成長へと繋がった。 手倉森監督は14年1月の立ち上げ以来、高い守備意識と柔軟な戦い方を植え付け、常に新しいメンバーを呼び寄せてチームに刺激を与えてきた。そのかいもあって、チームは簡単には崩されず、粘り強く戦える集団に少しずつ姿を変えてきた。 ドーハで行なわれるリオ五輪アジア最終予選が、想像以上に厳しい戦いになるのは間違いないが、少ない準備機会、限られた選手選考、結果が出ていないことへの逆風や危機感が反発力となれば、リオ五輪への出場権獲得は、決して不可能なミッションではない。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)