新NISAが始まって1年……。失敗や制度の誤解など、FPが実際の相談内容を紹介!
2024年は新NISA制度が始まり、本格的に投資にチャレンジした人が増えた1年でした。投資初心者のAさんもその一人です。勉強熱心なAさんがどのように実践したのか、今年の失敗を次に生かすヒントとともに探ります。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
つみたて枠はS&P500とオルカン
新NISA制度が始まるにあたり、さまざまな手引書があふれました。「“始めたいけど、どうしたらいいのか分からない”という初心者は、手始めにつみたて枠を使うこと」これは共通していたでしょう。 投資のリスクを軽減するための鉄則は、「分散」です。つみたて枠で買える投資信託は、あらかじめ長期分散投資に向いた商品として選別されたものです。コストが安く、毎月分配ではないので投資効率がよいなどの条件をクリアしていますので、商品を選ぶ難しさは軽減されています。とはいえ、2024年10月24日時点で301本あります(※)。 過去の運用成績を見ると、国内株式よりも海外特にアメリカ株式の上昇率がよいので、国内株式ではなく海外の株式型に注目が集まりました。 Aさんも例外ではなく、つみたて投資枠を使ってS&P500とオールカントリー(通称オルカン)に投資しています。S&P500は、アメリカを代表する企業500社を投資対象にした投資信託です。 また、オルカンはその名のとおり、世界中の企業を投資対象にしています。ですが、実際の構成銘柄は約6割がアメリカ企業で占めています。この1年間での投資成績は順調ですが、分散投資しているつもりがアメリカに偏っていることに気がつき、「来年以降のアメリカ経済は大丈夫か?」と不安がよぎるそうです。 投資において、この「不安がよぎる」ことは大事だと考えます。気になるのでチェックする習慣がつきます。投資信託の値動きだけでなく、組入銘柄はどうなっているのかなどにも目が届くようになります。「積立投資は10年以上の長期展望なので、ほったらかしでも大丈夫」。確かにその考え方もありますが、せっかく投資を始めたのですから、もう少し踏み込むことで投資に対する興味や理解がさらに深まります。 Aさんは来年以降もこのままの商品で継続するか、再考するかを思案中だそうです。積立投資は、継続することが成功の秘策です。投資対象を変えたとしても、積立は続けてほしいと思います。