「前、空いてるじゃん」 なんで停止線の手前で止まる人いるの? 一方で「停止線を越えての停止」は違反じゃない? 「3秒間」ルールはホント?
一時停止のルールしってる? あえて停止線の手前で止まる人がいるけど…それはなぜ?
一時停止場所においてはときどき、停止線を越えて止まるクルマやバイクが見られます。 【画像】これが「停止線で上手く止まるコツ」です!(11枚) 逆に停止線よりも手前で止まるクルマやバイクも稀に見られます。 では、停止線を越えた場合は違反なのでしょうか。また停止線の手前で止まる意味はどのようなものなのでしょうか。
一般的に左右の見通しがきかない交差点や、出会い頭事故が起きやすい交差点などには「一時停止」の道路標識と停止線がセットで設置されています。 しかし、一時停止場所においては停止線を越えて進行する車両が散見され、ひどい場合だとノーブレーキで車両が交差点に進入することもあります。 このような車両に対してはSNS上で「十字路で一時停止無視のクルマに危うくぶつけられそうになった」「きっちり止まらないクルマが多い」「止まれの文字が見えないのか?」など厳しい声が寄せられています。 その一方で、「徐行で通過しようとしたら一時不停止で切符切られた」という体験談や「一時停止は何秒止まれば良いの?」といった疑問の声も聞かれました。 では、一時停止場所をどのように通過すれば良いのでしょうか。 そもそも一時停止場所における停止方法については、道路交通法第43条に次のように規定されています。 「車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあっては、交差点の直前)で一時停止しなければならない」(条文を一部抜粋) この条文の『一時停止』とは車両の車輪が完全に停止することと解釈されており、ドライバーは停止線の手前で確実に止まる必要があります。 そのため、たとえ徐行でゆっくり進行したとしても、停止線を越えてしまうと厳密には一時不停止の違反に当たります。 また車両が停止する時間に関してはインターネット上で「3秒間停止しなければいけない」とする説がよく聞かれますが、実は道路交通法に秒数の規定はありません。 秒数にこだわるのではなく、一時停止をした後にしっかりと左右の安全確認をする意識が重要といえるでしょう。 なお一時停止場所での停止方法については、警察で「3段階停止」を推奨しており、具体的には「1 停止線で停止」、「2 見せる停止」、「3 確認の停止」という3ステップです。 1はその名称のとおり、いったん停止線の手前でしっかり止まることを示しています。 次に2は、停止線の位置からゆっくりと前進して交差点の角にクルマのバンパーを揃えるように停止し、優先道路側の車両や歩道を歩いている人などに自車の存在を知らせる目的があります。 そして3の確認の停止は、左右の安全が確認できる位置までゆっくりと前進して止まることです。 交差点の角に運転席を揃えるような位置で停止すると優先道路側の車両や歩行者・自転車などの存在がよく確認できるようになります。 ちなみに、都道府県警察によっては2と3の行程をまとめ、「2段階停止」と呼ぶこともあります。 このように段階を踏みながら停止して安全確認をすることで、クルマや歩行者などとの接触事故を防止できる可能性が高くなるため、普段からこの「3段階停止」を意識しておくと良いでしょう。 そのほかSNS上においては、信号機のある交差点でたびたび、赤信号待ちのクルマが停止線を越えていることに対して苦言を呈する声もみられます。 道路交通法施行令第2条は赤信号の意味について「車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと」と規定しており、停止線を越えれば「信号無視」に当たることも考えられます。 実際のところ、信号待ちで停止線を越えているからといってただちに警察から取り締まりを受けるわけではありませんが、クルマが停止線を越えて停車していると交差点を曲がってきた大型トラックなどが通行しにくくなるおそれもあります。 赤信号の場合はもちろん、もうすぐ赤信号に変わりそうな状況であれば、いつでも停止線の手前で停止できるような運転を心がけましょう。 そんな停止線ですが、稀に停止線の手前で止まるクルマを見かけます。 SNSでも「なんぜ停止線の手前で止まるの?」や「中途半端にスペースを空けているの意味があるの?」などの声が見受けられます。 この行為について、過去の取材でとある自動車教習所の担当者は次のように話してました。 「決められた停止線よりも手前に止まるという行為は、色々な理由が考えられます。 基本的には『狭い道幅で対向車が来た際に曲がりやすくする』という配慮からのものが挙げられます」 この「対向車のクルマが曲がりやすくなる」というのは、対向して曲がってくる大型車など回転半径が大きなクルマに対して有効です。 具体的には、狭い道幅では車両が曲がって侵入する時の角度が限定的であるため、ある程度曲がる先にスペースが必要となります。 そうした際に停止線よりも手前に止まっていることで「曲がりやすくする」ことに繋がるのです。 なお多くの一時停止線はこれらの対向車が曲がれる位置にありますが、稀に曲がりづらい場所もあります。そうした場合にはドライバーが周囲の状況に応じて対応することが望ましいと言えます。 ※ ※ ※ 基本的には一時停止の道路標識や停止線がある場所では、停止線の手前でしっかりと止まらなければなりません。 ドライバーがブレーキを踏んで止まったつもりでも、周囲から見るとまったく停止できていないというケースも少なくないため、改めて自分の運転を見直すことが大切です。
元警察官はる