小学校の「卒業文集」廃止の動き広がる 背景に“教師の働き方改革” 制作に3ヵ月…休み時間に添削も 一方で「一生の思い出なので簡単にやめられない」葛藤する教育現場
卒業シーズンを迎える中、いま卒業文集を廃止する動きが広がっています。背景には一体何があるのでしょうか。
各地で廃止の動き 背景に“教師の働き方改革”
卒業にあたり、学校での思い出や将来の夢を綴る「卒業文集」。大人にとっては当時、当たり前のように作ったものですが、神戸市内のある小学校は、学校だよりにこんなお知らせを載せました。 「本年度より6年生の卒業文集を廃止いたします」 廃止の理由は、卒業文集の制作にかける、教師の時間確保が難しくなったためだといいます。
制作に3ヵ月…休み時間にも添削 教師の負担大
卒業文集は多くの学校で11月頃から制作が始まり、完成まで3ヵ月かかることも珍しくありません。ただでさえ長時間労働が問題となっている学校現場の、さらなる負担にもなっているというのです。 (神戸市学校教育課 坂田仁課長) 「下書きも何度か添削して、また書き直してを繰り返して必要によっては休み時間や放課後も文集の添削等に時間を費やす(廃止されれば)その時間が単純になくなるので、翌日の授業の準備などに十分使える」
関西では他に京都市内でも廃止している学校があるということです。 また、大阪市のある小学校では、子どもたちにとって一生の思い出なので簡単にやめられないものの、やはり負担は大きいということでした。 例えば、卒業文集の中身を人権的に問題がないかチェックする必要があるということで、ある子どもが「仲が良いのは松尾くん(仮称)だ」と書いたとすると、名前の出てきてない子どものことも気遣わなければならないので、「僕はたくさんの友達がいる」と文章を変えてもらったことがあったといいます。 また、教師は通常の授業と並行して文集を作成しなければならないので、大きな負担になっているということです。
「卒業文集は必要だと思う?」視聴者の回答は...
「卒業文集」廃止の動きについて、番組ではLINEアカウントで視聴者にアンケートを実施し、806人から回答を得ました。 卒業文集について「必要」と回答した人は全体の52%。理由としては次のような回答が見られました。 「案外子どもの頃に何を考えていたのか忘れるもの。見返すと新しい発見がある」(60代女性) 「結構読み直して、夢のために頑張ろうと励まされていた。良くも悪くも思い出としてあって良かった」(30代女性) 一方で「不必要」と回答した人は全体の48%で、その理由としては「卒アルで十分。人に見られるので本音を書かず『楽しかった』ばかりで1回見たらもう見ない」(50代女性)ということでした。
また、卒業文集を見返す頻度について「ほとんどない」と回答した人が43%、「全くない」と回答した人が40%という結果に。 「全くない」と回答した人の中には「このLINEアンケートのおかげで何十年ぶりに見返しました」という人もいました。 卒業文集テーマについては「将来の夢」や「未来の自分へ」などが中心かと思いますが、大半の人が「覚えていない」と回答しました。 (『newsおかえり』2024年3月19日放送分より)