【雇用保険改正】2025年に自己都合退職者が相次ぐ理由とは。改正のポイントをわかりやすく解説
雇用保険改正の主なポイント
雇用保険の改正ポイントを見ていきましょう。 ●1.雇用保険の適用拡大(施行期日:2028年10月1日) 被保険者の要件を週所定労働時間「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適応対象が拡大されました。総務省「労働力調査」によると2023年度では、週間就業時間10~19時間に該当する方が約506万人確認されているため、大幅な拡大を行うことが確認できます。 ●2.自己都合離職者に対する失業保険の給付制限を解除(施行期日:2025年4月1日) 自己都合離職者が失業給付を受給するにあたって、現行法では待期満了の翌日から原則2ヶ月間の給付制限が設けられています。しかし、改正後は離職から1年以内に自ら職業訓練を受講した場合は、給付制限が解除されます。 職業訓練を受けない場合については、原則2ヶ月間の給付制限が1ヶ月間に短縮されるのもポイントです。なお、5年間で3回以上の自己都合離職に対しては、給付制限が3ヶ月になる点は留意しておきましょう。 ●3.教育訓練給付の拡充(施行期日:2024年10月1日) 教育訓練給付とは、専門スキルの習得や資格取得などを目的としている厚生労働大臣指定講座を受講した際に、受講費用が支給される制度のことです。現行法では上限受講費用が70%に設定されていますが、改正後には80%に引き上げられます。 今回は教育訓練給付制度のなかでも「専門実践教育訓練給付金」と「特定一般教育訓練給付金」の給付率が見直されており、それぞれ最大給付率が異なるので注意が必要です。 専門実践教育訓練給付金の最大給付率は、本体給付と追加給付を合わせて80%です。一方で特定一般教育訓練給付金の場合、本体給付と追加給付を合計しても最大給付率は50%になります。現行法と改正後では、それぞれ10%引き上げられている計算です。 ●4.教育訓練給付の創設(施行期日:2025年10月1日) 教育訓練の受講者がより専念できる環境作りを目的に、教育訓練給付が創設されます。教育訓練給付金の対象者や支給要件などは、以下の表をご覧ください。 ・対象者:雇用保険被保険者 ・支給要件:教育訓練のための休暇(無給)を取得すること、被保険者期間が5年以上であること ・給付内容:離職した場合に支給される基本手当の額と同じ、給付日数は被保険者期間に応じて90日・120日・150日のいずれか ・国庫負担:給付に要する費用の1/4または1/40(基本手当と同じ) ●5.国庫負担割合を引き上げ(施行期日:公布日または2024年4月1日の遅い方) 男性の育児休暇取得数増加により、育児休業給付の支給額が増加しているため、国庫負担割合が引き上げられます。具体的な割合は、現行法の1/80から1/8となります。 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」によると、育児休業支給額は2020年度から右肩上がりに上昇しており、2023年度は7780億円であると確認できます。一方、同じく2023年度の支出額は7996億円です。 ●6.育児休業給付の保険料率を調整する仕組みを導入(施行期日2025年4月1日) 育児休業給付を支える財政基盤の強化を目的に、雇用保険の保険料率を0.4%から0.5%に引き上げる改正を行いました。さらに、当面は0.4%に据え置くものの、保険財政の状況に応じて保険料率を弾力的に調整する仕組みを導入しています。 ここまで6つの改正ポイントについて解説しました。次章では、今後どういった影響が予想されるのか見ていきましょう。