モチベーションにつながらず「プラス効果」が皆無…「憎悪」と「嫉妬」はどちらが“よりネガティブ”な感情なのか
僧侶としては、まず坐禅をおすすめします。一定の指導と訓練が必要ですから、興味があれば坐禅指導をする寺院に足を運んでみるといいでしょう。それが難しいようなら、日常生活の中で思考や感情をいったん遮断して、クールダウンする気軽なやり方もあります。感情からいったん降りて、「平場(ひらば)」に戻す方法です。 たとえば、散歩する、昔の愛読書を読む、お茶をじっくり味わう。食事をひとりで味わって食べる、肌の感覚に意識を向けながらお風呂に入る。そういったことを行うと、思考や感情の揺れが静まります。心がざわざわするときは、昔のアルバムを見ると話す女性もいました。
意外かもしれませんが、草むしりや雪かきなどの単純労働も役立ちます。単調な肉体労働を繰り返すと感情の起伏が収まり、クールダウンしやすいのです。 ある人が「お寺にお参りすると心が落ち着くので、感情をリセットできる気がします」と言いました。確かに、寺社参りはもともと日常から離脱するという側面を持っていました。しかし、「パワー」や「御利益」をもらい、「癒やされ」に行く参拝であれば、要するに「取引」です。何か「いいこと」を当てこんでする行為では、クールダウンにはなりません。
クールダウンは、「気分転換」や「リフレッシュ」とは違います。それは、考える前の助走のようなもの。いったん場をならして、次の試合のためのグラウンド整備をするようなものです。 ですから、クールダウンは、新たな刺激がなく、日常的にできることにかぎります。温泉や旅行に出かけたりすると感情をリセットできそうですが、非日常の刺激はこの場合不向きです。また、ワクワクしたり興奮したりすることもおすすめできません。昔の愛読書といっても、胸躍るような冒険小説やファンタジーではダメです。淡々と読める短編集や絵本がいいでしょう。
散歩や入浴、お茶や食事などでクールダウンするときは、五感に集中することが大切です。 今挙げたものにかぎらず、最終的に自分に合った方法を探せばいいのですが、押さえておくべき点が2つあります。物理的にひとりになること。そして、あまり動かずにできることです。 この技術はふだんから準備していないと、イザというときに使えません。また、しばらくやらないと必ず錆びつきます。習慣として、日常の中に組み込んでおくといいでしょう。