「体がニオいやすいのはどんな人?」体臭予防5つの習慣を医師がアドバイス
気になるけれど、人には相談しにくい「ニオイ」の悩み。酷暑の折、どうすればニオイを気にせずに過ごせるかを、医師の桐村里紗先生が指南してくださいました。 【写真】ニオイケアにおすすめのアイテム5選 ◆教えてくれたのは 医師・『tenrai』代表取締役 桐村里紗先生 腸内フローラなどを基本にした予防医学の専門医。生活習慣病から女性外来まで幅広く診療経験を積み、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)にはニオイ環境評論家・腸活評論家として出演。著書に『日本人はなぜ臭いと言われるのか~体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか
1.まずはニオイについておさらい ◆体のニオイの正体は“皮膚から出るガス” 桐村先生:さまざまな雑菌や皮脂、汗が混ざり合った皮脂膜が、時間と共に酸化・分解されて発する揮発性成分(ガス)のことです 皮膚には皮脂を分泌する「皮脂腺」と、汗を分泌する「汗腺」があります。皮脂も汗も健康的な状態ではもともとは無臭なのですが、時間が経つとさまざまな種類の雑菌(皮膚常在菌)と混ざり合ったり、酸化・分解されることで不快なニオイを発します。 また、汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。エクリン腺は全身に分布していて、暑いときや運動したときなどにかく体温調節のための汗を分泌します。中身はほぼ水で、ほかは塩分などのミネラル分や尿酸など。汗腺の機能が良ければ、ミネラル分は再吸収されて水分の多いサラサラの汗となります。ベタベタ汗であるほどミネラル分を栄養にして常在菌が繁殖し、時間と共に分解されて体臭となります。 アポクリン腺は、日本人の場合8割以上の人は退化しています。一部の人は、ワキやデリケートゾーン、耳の中などに存在し、水のほかにタンパク質や脂肪酸など独特のニオイになりやすい成分を含んだ粘り気のある汗を分泌します。これが常在菌と混ざって繁殖し、その発酵臭がワキガなどの原因になるのです。 2.こんな人はニオいやすい ◇汗や皮脂の分泌が多い人 桐村先生:当然、ニオイのもとが多いほうが危険度大。特にワキ・足の裏・頭皮・デリケートゾーンなどに汗をかきやすいので、汗をかいたら放っておかないことが大事です。 ◇汗をあまりかかない人 桐村先生:逆に汗をめったにかかない人もエクリン汗腺の機能が落ちていてサラサラよりベタベタした汗の分泌が多くなり、ニオイがきつくなりがちに。 ◇衛生観念の低い人 桐村先生:言わずもがなではありますが、汗をかいた服をまた着る、毎日同じ靴を履く、かいた汗の処理をしない…こうした行為が雑菌を繁殖させてしまいます。汗をかく季節こそ、特に清潔を保ちましょう。 ◇ストレスフルな人 桐村先生:緊張状態によるストレスを受けると、肌からニオイを発する皮膚ガスが発生します。これが「ストレス臭」。アンモニアや硫黄のようなネギのようなツンとしたニオイがします。ストレスや疲れを溜めないで。 ◇食生活が乱れている人 桐村先生:。肉類やバター、チョコレートなど動物性タンパク質や脂質、また砂糖や果糖などの糖質を多く摂取すると、過剰な皮脂分泌や皮脂の酸化が起こりやすくなり、ニオイのもとになります。 ◇40代になり「加齢臭」が気になる人 桐村先生:40代から気になり始める加齢臭。これは「ノネナール」という物質が原因に。皮膚が酸化して生じる過酸化脂質に。特に首の後ろ、胸元、脇の下、背中など身体の体幹部に発生しやすいです。 3.ニオわないようにするためにしたいこと ◇汗をかく習慣を身につけて、ゆっくり汗をかく 桐村先生:汗や皮脂の質が問題であって、汗をかくことは大事です。一気に出る汗は塩分濃度が濃くなるので、ゆっくりと汗をかいてほしいです。有酸素運動やゆっくり湯船に浸かる、クーラーで体を冷やしすぎないなどを心がけるようにしましょう。 ◇汗・皮脂が出たら拭き取る 桐村先生:“ジメジメベタベタ”状態は、菌の大好物。その状態にさせないように、汗をかいたら濡れタオルやボディシートで拭き取って。さらに速乾・吸湿性効果のある衣服を選ぶと正解です。 ◇ニオイのもととなる食事を控える 桐村先生:肉などの動物性脂肪や、甘いパンや菓子類などや脂っこいもの、お酒も控えめにすると皮脂の酸化を防ぎ、徐々にニオイも変わってきます。 ◇腸内環境を整える食材を意識する 桐村先生:発酵食品や食物繊維をとって腸内環境を整えましょう。特に豆類・キノコ・海藻・野菜などに食物繊維が多く含まれます。 ◇ストレスを溜め込まない 桐村先生:ストレス臭を発しないためにもストレス発散法を見つけましょう。どっと出る汗はニオイが強いことを意識して、普段からリラックスできる環境に身を置くようにしてください。 取材・文/黒木由梨・小内衣子(PRIMADONNA)