「夏はTシャツで寝る」はやめたほうがいい…睡眠のプロが「寝具は夏用と冬用を分けるな」というワケ
睡眠の質を上げるために効果的なアイテムは何か。スリープトレーナーのヒラノマリさんは「布団やパジャマは厳密に『夏用』『冬用』とわけず、1年中使えるようにしたほうがいい。パジャマは1年を通して長袖長ズボンがおすすめだ」という――。 【図表】マットレス・枕の「体の外側」を見てみよう ※本稿は、ヒラノマリ『人生を変える睡眠術』(大和出版)の一部を再編集したものです。 ■マットレスは迷ったら硬いものを選ぶ 質のいい睡眠を成り立たせる2本の柱として、「体の外側からのアプローチ」と「体の内側からのアプローチ」があります。 この「体の外側」と「体の内側」には、次のようなものがあります。 ここではまず、体の外側からのアプローチに焦点を当てましょう。 日本人は布団文化で進んできたので、「布団は硬いほうがいいのでは」「柔らかいと体に悪いのでは」と考える人もいるようです。 でも、硬すぎる布団はよく眠れないことが多いもの。腰とマットレスの間にすきまができると腰を痛める原因にもなりますので、ほどよい柔らかさがあることが重要です。 しかし、新しくマットレスを選ぶ際、硬いものかソフトなものかで迷ったら、とりあえず硬いものを買いましょう。 というのもマットレスは、後からトッパー(マットレスの上に敷いて寝心地を調整するもの)などを敷いて柔らかくすることは可能ですが、柔らかいものを硬くするのは難しいからです。
■コイルが入っているマットレスは10年前後で買い替えどき 意外と見落としがちなのが、ベッドパッドです。 ベッドパッドはマットレスへの汗のしみ込みや汚れ防止にもなるので、ぜひ使ってください。ポリエステルより綿や羊毛などの素材のものを使ったほうが、通気性が確保されて蒸れにくくなります。 使っているうちに、寝具がだんだん合わなくなってきた場合、買い替えなくても手持ちのものをベターな状態にする方法があります。 男性で多いのは、太って、お尻にお肉がついたために腰が浮くようになって、硬いマットレスが合わなくなるケース。この場合は、クッション性のあるものを入れて、腰とマットレスのすきまを埋めると快適になります。 低反発のマットレストッパーを上に載せるのもおすすめですが、このとき、厚手のものより薄手のものがいいでしょう。 ただし、マットレス本体が歪んだり、へたったりしている場合は、何を上に敷いても修正できません。そのときは買い替えをおすすめします。 コイルの入っていないウレタンや高反発ファイバーのマットレスの寿命は7年前後、コイルが入っているマットレスは10年前後で買い替えどきと言われています。 ■柔らかいリネン類を使うだけでも変わる 枕を選ぶときは、高さ、素材、また男性か女性かを考慮することが必要です。 男性は、柔らかいフェザー系や綿の枕は避け、高反発系の素材やパイプの枕など、硬めのしっかりしたものを選びましょう。 男性は女性よりも骨格がしっかりしていて筋肉量や骨量もあるので、ある程度の硬さがないと首を支えられず、寝姿勢が崩れがちだからです。 女性の場合、低めの枕が合うケースが多いです。普段高すぎる枕を使っているという方が多いのですが、それだと首にシワが寄りやすいというデメリットがあるので、一度見直してみるといいでしょう。 枕の寿命は素材によって異なりますので、それに応じて買い替えてください。 マットレスはそのままでも、シーツや枕カバー、布団カバーなどのリネン類を変えるだけでも睡眠の質は変わりやすくなります。 「肌から眠る」。これは私が睡眠のキーワードのひとつに位置づけているものです。 なぜなら、副交感神経のスイッチを入れるトリガーの中に「肌触り」があるからです。 タオルやブランケットの柔らかい感触や香りは、心を落ち着かせてくれます。 スヌーピーに出てくるライナスの毛布もそうですし、小さい子の顔まわりに柔らかいガーゼを置いたりするのも、肌から眠りをもたらす作用があります。 したがって、リネン類もなるべく柔らかい素材にしましょう。 夏なら麻が入った素材などと、さらっとした感触やひんやりした感触のあるものに変えてみると、それだけでも眠りの質が変わってきます。