東証の取引延長、恩恵は短期アルゴ勢に集中か-機械的な株価変動警戒
米モルガン・スタンレーで10年以上アルゴリズム取引に従事した東京都立大学の足立高徳特任教授は、アルゴリズムとトレーダーが共存する市場は「オリンピックの100メートル競走にチーターが入ってくるようなものだ」と表現する。人工知能(AI)なら1000分の1秒さえあれば、決算資料のみという不十分な情報からでも経営陣の考えをそれなりの形で導き出すことが可能だと述べた。
半面、中長期目線の機関投資家は投資判断に関する顧客などへの説明責任があり、時間延長だけでは収益機会の拡大につながる可能性は低そうだ。三菱UFJアセットマネジメントの友利啓明エグゼクティブファンドマネジャーは、取引中に決算発表するのであれば、その判断に至った経緯について論理的な説明があるかなど、株価を意識した経営ができているかどうかが重要になると話す。
取引時間の延長は、トレードのサポート業務などを担当するミドルオフィスと呼ばれる部署の負担増にもつながる。武士道アセットマネジメントの杉山賢次社長は、証券会社や運用会社ともに業務悪化につながると指摘。社員の引き留めや採用にも影響する可能性があるとし、「日本市場全体として得を見つけることは難しい」との見方を示した。
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Yasutaka Tamura