フリーランス新法、無理解は重大リスク 「下請けいじめ」回避する3つの方法
例えば、支払期日が明示されていないと、納品時に即日支払う義務が生じる。このように不備があると、発注者の負担が大きくなる点にも注意が必要だ。 新法では「取引の適正化」に加えて、フリーランスの「就業環境整備」を定めている。 ハラスメントの防止に関しては、20年に施行されたパワハラ防止法によって、社内での対策を進めた企業は多いだろう。だが、新法によってその枠組みが社外にまで広がったことに留意したい。社内に相談窓口がある場合はそれをフリーランス向けに案内できる。ない場合は外部に窓口を設置する必要がある。違反をすれば厚労省から勧告などを受けることになる。 意外と忘れがちなのが、就業規則の改訂だ。社外のフリーランスに対するハラスメント行為を懲戒処分の対象とする場合は、その旨を就業規則に加える必要がある。 従業員のいる個人事業主や企業がフリーランスと取引する場合、各種ハラスメント行為を防止するための措置や相談窓口の設置が必要だ。6カ月以上にわたってフリーランスに業務を委託する場合は、さらに、「育児や介護と業務を両立させるための配慮義務」「契約の解除・不更新の場合は解除日・契約満了日から30日前までに中途解除を予告する義務」などが発注事業者に生じる。 新法の適用対象は事業規模を問わず、幅広い業界が対応を迫られている。だが、発注者においてもフリーランスも、まだ意識は浸透していない。公取委と厚労省が5~6月に実施した調査では、発注者は54.5%、フリーランスは76.3%が法律の内容を知らないと回答した。新法への無理解は企業にとって大きなリスクに直結するという、経営の認識が必要だ。
神田 啓晴