フリーランス新法、無理解は重大リスク 「下請けいじめ」回避する3つの方法
発注者がフリーランスとの取引に当たって、注意すべき点は主に3つに分類できる。①取引条件を書面やメールなどで明示すること②発注側の禁止行為が定められたこと③ハラスメントの防止など就業環境の整備・配慮──の3点だ。 取引条件には、発注する業務の内容、納期、納品する場所、報酬額、支払期日などの明示が義務づけられている。支払期日は「発注した物品やサービスを受け取った日から60日以内」だ。 発注段階で、取引条件の中に未定の事項があるケースもあるだろう。その場合は、未定となっている理由やその内容をいつまでに定めるのかを示し、詳細が確定した段階で追って明示すればよい。 新法では従業員のいる発注事業者がフリーランスに1カ月以上の業務委託をした場合、7つの行為が禁止される。例えば「買いたたき」や「不当なやり直し」などだ。 違反行為を犯した発注事業者に対しては、公取委から助言や指導、勧告といった行政指導が行われる。命令違反や立ち入り検査の拒否には罰金50万円以下が科される。是正勧告や命令の際には、公取委が企業名や違反の内容を公表する。 ●求められる体制整備 新法を順守するために、発注者は具体的にどのような体制整備を進めればいいのか。労働法制に詳しい堀田陽平弁護士は3つのポイントを挙げる。 まず、取引条件の明示に関する社内でのルール整備と周知徹底だ。 例えば、下請法違反で公取委から再発防止の勧告を受けたカバーは、公取委の調査に「自社の行為が法令違反であると認識していなかった」という趣旨の説明をしたという。同社は下請法違反を起こした背景について「事業が急拡大し取引件数が増大したのに対し、お取引先様の方々とのやり取りに抜け漏れや遅延が生じてしまっていたこと、及び社内体制の構築や社内研修が不十分であったことが原因」とのコメントを出している。 こうした事態に陥らないためにも、「発注時のルールや書式は社内で統一し、フリーランスへの発注手順については社内で関わる全ての部署に周知・研修をすべきだ」と堀田弁護士は強調する。