就活生が考える「つまらない会社」と「魅力的な会社」の決定的な違い
企業における採用活動は容易なことではありません。多数の応募者の中から優秀な人材を見極め、獲得しなくてはならないからです。今回は、採用にあたって経営者がやるべきことと、してはならないことを紹介します。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、関野吉記『管理職のチカラ(管理職の力) ~採用も、業績も、人材育成で変わる~』(プレジデント社)の一部を抜粋・編集したものです。 ● 「即内定」だってアリ 本稿では、採用活動において経営者がやるべきこととやってはいけないことを考えておこう。 たとえば、現場の採用担当者から人材ペルソナにマッチする就活生と接触しているという報告が上がってきたら、経営者はどうするべきだろうか。 私は、ある中堅企業の経営者が、現場の採用担当者が上げてきた候補者と面接をした後に、「いまの若者は意欲がないなんていうが、意欲のある、いい学生がいるものだと感心した」などと言うのを聞いたことがあるが、その採用担当者がそのひとりをつかまえるためにいったい何人の学生とコンタクトしたのか、それすら知らずにこんなことを言っている経営者は、それだけで失格だと思ったものである。 経営者がまずやるべきことは、採用の現場を見ること、知ることであり、現場の採用担当の苦労に寄り添うことなのである。その上で、経営者でなければできない仕事がある。それは、採用活動にスピード感を持たせることである。 現場の採用担当者から「いい人材と接触している」と報告があったら、管理職クラスの面接をスキップして、経営者が直接面接をすることを考えてもいい。もしもその人材が本当に必要な人材であると自分の目で判断できたら、その場で内定を出してしまってもいいのである。
稟議を通さなければ実行に移すことが難しい大企業にはなかなかできないことだが、中堅・中小企業ならばこうしたことも可能なのだ。 その結果、採用のスピードをアップすることができ、優秀な人材を他社に持っていかれるリスクを低減できる。 ● 就活生が考える「つまらない会社」 就活生は、広い暗闇の中をあてどなくさまよっているような存在である。どんなに優秀な学生でも、最終的に就職できる保証はない。彼らは基本的に不安を抱えている存在なのだ。その不安定さの中に、中堅・中小企業のチャンスがある。 大海で進むべき方向を見失っている就活生に、早い段階で「こっちだよ」と糸を垂らしてあげれば、学生はそこに縋(すが)りほっと一息つけるだろう。そうすることで、望外の「大物」を釣り上げることができるかもしれないのだ。 しかし、その大物はひと息ついて生気を取り戻し、ふたたび大海に泳ぎ出してしまうかもしれない。早めに糸を垂らせば、それだけケアの必要な入社までの期間が長くなってしまうことも理解しておかなければならない。 いずれにせよ、中堅・中小企業の場合、経営者が一人ひとりの就活生にスピード感を持って個別対応をしていくことが必要なのである。 また現場の採用担当者自身が適切な人材であるかどうかを見極めることも、経営者にしかできないことである。 私の知る限り、企業合同面接会などの面接の内容にはおざなりなものがとても多い。多くの企業が面接マニュアルを作成しているが、「ひとり当たり25分。弊社の説明資料を手渡して、質問は以下の7項目に限る」などといったことを事前に決めておいて、機械的に面接を進めていく場合が非常に多いのである。 そんなマニュアルでガチガチに固められたつまらない面接を受けて、その会社に就職したいと思う学生が存在するだろうか。むしろ、「この会社に入ると、こんなつまらない社会人になってしまうのか!」と思う学生が多いのではないか。